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第十六話 ドラゴン討伐 其の二

 ドラゴンが出たと聞いた場所に向かうとそこは酷いありさまだった。


 数十人がそこには倒れていた。まだ死んでいるか分からない者も何人かいたが、大半はすでに死んでいるようだった。


 切り傷があって血だまりを作っている者、体がねじ曲がっている者──死体を見るのは初めてではないが、これはむごい。


「これは酷いな……大丈夫かい?」

「今のところは大丈夫です」


とは答えてみたものの、立ち込める臭いにずっと吐き気がしている。


 想定以上に強いドラゴンに万全でない状態の俺──まずすぎる。ロンドさんが同伴しているから死ぬ前にはどうにかしてくれると思うけど、何か事情があって戦えないようなことを言っていたから、あまり頼ってはいけないだろう。


 でも行くしかない。少し離れたところにいるドラゴンへと歩を進める。


「グルルルルルルルルァ!」


 どうやらこちらに気が付いたようで、ドラゴンが向かってくるが──速い。一歩ごとに地鳴りのような音がするから体重は重いはずなのに、なんて脚力だ。


 振り下ろされる爪を水の魔法剣で受け止め──きれない。爪を受け止めている部分の水が離散してしまっている。


とっさに纏わせている水の流れを変え、爪が触れている部分に水が流れ込むようにして水の量を増やす。


 まずい……ただ受け止めるのもこれだけ大変だなんて。こちらの攻撃は効くのか?


 一番得意な炎の魔法剣で反撃に出る。鱗が硬くて刃が通らない。押してはみたが、すぐに爪が来る──退避しなければ。


 ドラゴンの討伐がAランクパーティにしか許されていない大きな所以は鱗だ。ドラゴンの鱗は非常に硬い。その上、材質的に魔法の威力を下げることでも知られている。


 それゆえ、剣にしろ魔法にしろ半端な攻撃では意味がない。鱗の攻略法は主に二つだ。


一つは大魔法による攻撃。鱗はたしかに魔法を効きにくくする効果があるが、無効化するわけではない。鱗を通してでもある程度のダメージを与えられる魔法を何度も打つのだ。


 もう一つは剣による斬撃。熟達した剣士にしか出来ないが、的確に剣に力を伝えることで鱗を切り裂けると言われている。しかしこちらは成功した人も数えるほどしかおらず、主流なのは魔法だ。


 俺は大魔法が使えない。だから、剣が通ることに賭けたのだが──駄目だった。剣が通らなければ魔法も効かないので、手詰まりだ。


 他に方法はないのか。ドラゴンの攻撃を受け流したり、避けたりしながら必死に頭を回す。


そうか──口の中を攻撃するというのはどうだろう。通常のドラゴンなら使えない手だがこいつは幼体で、頭までが俺の身長の1.5倍ほどだ。出来るかもしれない。


 しかし、この方法は一撃で決めることが前提だ。


ドラゴンは知能が高いと言われている。一度攻撃されたら、きっと戦闘の間はもう口を開けないだろう。たとえ幼体といえどもそのくらいは考えるはずだ。


 一撃で決めるには……あれしかないか。


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