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17話 非常識過ぎる

すみません、間違って18話を17話として投稿したので、削除しました……。

こちらが17話です……


 ティアとネイアの二人がサンダーバードらしき鳥を見つめ、顔を青ざめさせている。


「シズク、今のうちに早く逃げた方が良いのじゃ! サンダーバードの羽毛は斬撃も魔法も効かんくらい耐性が高いんじゃよ! 生半可な攻撃じゃ、傷1つつけることはできぬ!」


「そうです、急ぎましょう! サンダーバードが本気になったら、放電や落雷など魔法使いが10人で障壁をはっても防ぎきれない一撃を放ちます!」


「へー……そうなんだ?」


 確かに本にも上級魔剣でもほとんど斬ることができず、5人がかりの超上級魔法にもほとんど無傷で耐えたって書いてあったけど……。

 どう見ても、()()()()()()()()なんだよね。やっぱりこれ、サンダーバードではないんじゃないかな?


「二人は少し離れててね。僕は少し試してみたいことがあるから」


「「え……?」」


 二人はその場で固まって動かなくなっちゃったので、念のため風の障壁を張ってからサンダーバードへと近づいていく。


 僕の気配に気づいたのか、さらに激しく暴れまわるサンダーバード。


 僕はいつも通り戦闘態勢に入ると右手を手刀の形にして、指先から少し離れた部分に刀身を延長させるようなイメージで風の刃を作り出す。確か直接攻撃は感電っていう状態を引き起こすって書いてあったけど、これなら問題ないだろう。


 足に力を込めて強く地面を蹴ると、固定されて動かせない頭部の下を駆け抜けながら首を切り裂く。

 少し離れたところまで移動してから足を止めて振り返ると、サンダーバードの首からは勢いよく血が噴き出していた。


「うんうん、うまくいったね。あ、まずい」


 絶命したのかサンダーバードの身体から力が抜けてしまい、血の流れが悪くなってしまった。

 慌てて拘束を解除してから風魔法で空中に吊るすような形にし、しっかりと血抜きを行う。


「な、なにをしたんじゃ……?!」


「風刃を手に纏わせて、剣のようにして斬っただけだよ?」


「魔法の熟練度が高い方は、本来の用途から外れた使い方ができるようになるとは言いますが……水刃だけでなく、風刃もなんですかっ?!」


「誰でもできるでしょ……?」


「できんわっ!」 「できませんっ!」


 えー……。

 魔法の教本に載ってたから、てっきり誰でもできるものだと思ってたのに。

 

 二人の視線がなんだか怖いから、早いところ話題を切り替えよう。


「そ、そういえばさ。僕のアイテムボックスにはまだ素材の残りが入ってるから、この鳥はとても入らないと思うんだ。二人はアイテムボックス使える?」


「……なんだかいじめられてる気分なのじゃ」


「えぇ?!」


 途端に悲しそうな顔をしてしまったティアに、何か変なこと言ったかな?! と驚く僕。


「シズク様。テレポートもそうですが、アイテムボックスは特殊魔法という分類に属されていて、使える者なんてそうそういませんよ。おそらく、何十万人に一人とかそんなところです。もしかしたら、もっと少ないかもしれませんね」


「……冗談だよね?」


「マジです。マジ」


 真顔で普段使わないような言葉まで使い、困った人ですねとでも言いたげな顔をするネイア。


 あれぇ……?


 僕が読んでた本には、普通に情報が載ってたんだけどな……。


「という訳で、じゃ。すまぬが、妾たちはアイテムボックスなぞ使えんよ。マジックポケット――マジックリュックのさらに容量が少なくなったものじゃが、その機能ならこの服についておるが、当然ながらあんなでかいものは入らないのじゃ」


「そっかぁ……。うーん、どうしようね」


「……あの。とんでもない発想ではあるんですが、もしかしたらシズク様なら可能なのでは……と思う方法が1つございます」


 恐る恐る、といった感じの小さな声でそう言ったネイア。


「ほう! たぶんシズクならけろっとやってのけるじゃろう。それで、どんな方法じゃ?!」


 ティアの食いつきが凄く、なんだか嫌な予感がした僕は素直に続きを促せなかった。

 でも、そんなことお構いなしにネイアが言葉を続ける。


「熟練の魔法使いは、二つ三つと魔法を同時に――『並列行使』できるじゃないですか。その要領で、アイテムボックスを同時発動すれば容量が倍になるのでは? と思ったんですが」


「おお、名案じゃな!! どうじゃシズク、できそうか?!」


「えーと……。アイテムボックスは、あくまで魔法で形成されている亜空間と接続するだけの魔法なんだ。だから、たとえ同時発動したとしても繋がる先は同じなんだよ」


 僕の説明に、ガックリと肩を落とすティアと、良く知りもせずすみませんっと頭を下げたネイア。


「でも、あれを放置していくのはいくらなんでも勿体なさすぎるのう。かと言って、素材の山を放置していくのも考えものじゃ。どうしたもんかのう」


「こうなったら、お肉だけアイテムボックスにしまって頂き、残りの素材は三人で担いでいきますか?」


 不可能ではないだろうけど、いくらなんでも危険すぎると思うんだよね。

 ティアたちですら一目でお宝の山だと断言してたくらいだし、盗賊なんかの恰好の餌になりそうな気がする。


「……あ。なんだ、そうだよ! ネイアの発想は間違ってなかったんだ!」


「どういうことですか??」


「ネイアは、ポケットがいっぱいになったらどうする?」


「中身を整理するか、別のポケットに入れると思いますが……」


「それだよ! 別のポケットに入れればいいんだ!」


「「……?」」


 僕の言葉に、訳が分からないといった感じで頭の上に疑問符を浮かべる二人。

 口で説明するより見せた方が早いと判断した僕は、さっそく作業に取り掛かる。


 今使っているマジックボックスは『闇』と『無』の複合魔法なんだけど、これを『光』と『無』の複合魔法で再現すれば良いんだ。

 あくまでベースは『無』属性の魔法で、『闇』は亜空間を維持するための空間形成に使っているに過ぎない。それなら、別に『光』でも同じことは可能なはず。


 僕の予想は見事的中し、新たなマジックボックス――名付けてライトボックスの魔法が完成した。


「よし、できた! 『ライトボックス』」


 魔法を発動すると、今まで黒かった亜空間内が白へと変わっている。

 でも能力はまったく同じなので、新しい倉庫を得たような感じだ。


 ぽかんとしている二人にライトボックスを見せながら説明すると、非常識過ぎると頭を抱えられたけど。

 なんだよ、二人がやれって言ったんじゃないか。


 でも、僕付きのメイドだったラナからも、女性の心はうつろいやすいから気を付けてくださいって口を酸っぱくして言われていたことを思い出し、反論したい気持ちをぐっと抑え込む。

 納得いかないと思いつつも、白い目で見られることに耐えられなくなった僕はサンダーバードをしまうという名目の元、そそくさとその場から逃げ出すのだった―――。

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