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35:佐江内渉は高校生である。(終)

佐江内渉はこれからも彼らを忘れないだろう。彼らもきっとワタルを忘れないだろう。

 宴は終わり、皆眠りについたころワタルだけは寝付けないでいた。それはハズキも同じようだった。


「眠れないのか?」


「ちょっとね」


「いままで色んなことがあったんだ。しかも今じゃ見知らぬ惑星でたくさんの宇宙人に囲まれてパーティするなんて考えられねえよ」


二人はクスリと笑いあいながら星を見上げていた。


「僕の居場所を守ってくれてありがとう。御堂君」


「俺は俺のできることをしただけだ。選んだのはお前だろ。つーか、その君付けやめろ!」


「じゃあ、御堂?」


「それでいい。俺はワタルって呼ぶよ。向こうに帰っても。」


二人は不思議な体験をした仲間としていつしか絆が芽生えた。そして、冴えないワタルは友人を得た。ようやく眠りにつき、ワタルは夢をみた。これまでの事、そして、マ・ゾールが体から抜け出ていく夢だった。彼の中には何の能力もないただの冴えない人間になったのである。ごくありふれた高校生に戻ることができたのである。充足感のまま起きるとすでにほかのみんなは身支度が終わっていた。アークラインは整備されていたがエデム離脱までは連邦艦にけん引してもらうようだ。


「おう、お目覚めみたいだな。勇者。いや、いまは元勇者のワタルか。もう平気か?」


「キャプテン。体はもうだいぶ軽くなりました。もう、戻るんですね。僕も支度します。」


「っていっても特に何もないだろ。」


「…へへ。確かに。 御堂、帰ろう。」


御堂みどう 葉月はづきがうなずくとアエナが手を取り話し始めた。


「やっぱり、うちに来ない?」


「はは。わがままだなぁ、もう僕が君の所へ行くことはないよ。」


「そうよね。 あなたにはあなたの居場所がある。でも忘れないで。私も、忘れないから」


そうして頬にキスした後、抱きしめられた。前に口づけを食らった時ほどの驚きはなかったが今度はみんなが驚きの表情で二人を見つめていた。アエナは頬を赤らめながらワタルの手を握り、アークラインに乗っていった。それにつられてみんなもアークラインに乗ると連邦艦隊に引っ張られて行きエデムを離脱した。段々と地面が遠ざかっていった。みんなが惑星に敬礼をした。すると、惑星から少し人影が見えたのだった。それは無邪気にこちらに手を振っていた。


 高速移動で戻っていき、一度銀河連邦のあるズァークにたどり着いた。そこには修繕されたビーコンがあった。ザギャは大喜びでビーコンを抱きしめた。意外な行動に驚きつつも、ザギャにつられてビーコンで帰ることにした。アエナもアッシュもワタルを最後まで見送るといい、共に地球までたどり着いた。多くの人間に見つからないように、茂みに隠れながら到着した。


「大丈夫...みたいだね?」


「ああ。本当に帰ってきたみたいだな。俺たちの知ってるビルがある。家がある。安心する大地がある!」


「どうやらお前らとはここでお別れみたいだな。 時間とかがめちゃくちゃになったおかげか、地球での時間軸としてはバラッカスが地球を襲った一日後らしい。それを覚えてる人がいるかどうかは知らんが」


ワタルがふと見るとそこには時計があった。時計がさす時間は登校時間に近かった。


「まずい! 学校の時間だ。御堂、少し急がないと」



「感傷に浸ってる場合じゃねえな。 俺ら、行かないと。 ありがとな、キャプテン。それにアエナ・マクスウェル。このことは忘れられねえ。」


アエナ達は笑顔で彼らを見送った。アッシュはビーコンの扉を閉め、遠く空へと上昇させていった。ワタルたちはそれを見上げながら学校へと走り出していったのだった。





その後の二人の人生がどうなったかは誰もわからない。なぜなら、未来は彼らが決めるものだから…

 久しぶりの作者登場。(以降自分語り)

小鳥 遊です。読者のみなさん、2年間お付き合いいただき感謝いたします。

今話にて一度本作は完結といたします。 これからも小鳥 遊を応援していただけると幸いです。

では、またどこかの世界でお会いしましょう。

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