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28:Oの真意 

ワタルとアエナが再開! 

そしてノアの真意とは!?

「ん? ああ、わかったよ。お父さん…」


「何の話ですか? ノアさん」


「ああ、ワタルかい...何でもないよ」


 さて、ワタルたちはアルマデスの成層圏へと入っていったが、その景色は密林といったものに近い。もっとも原始的で巨大な大木とツタが惑星を覆っていた。船を着陸する広い場所を探すため遊覧していると急に広がりを見せ、そこには石造りでできた人工物だった。それを見るなりノアは子供の用にはしゃぎだした。


「あそこ! オラクルの神殿じゃないか! あそこが僕たちの行くべき場所さ。半魚人君近場で下ろしたまえ」


「ザギャ、、半魚人じゃない。 適当と言っても密林地帯、木がいっぱい...」


「そんなの適当に倒せばいいだろ」


「ちょっとノアさん、勝手に荒らすのはよくないと思うんですけど...」


「ワタル、こういうのは割り切りってもんが大事なんだよ。それにここの環境を壊したって生物や何やらはいやしないんだ。だれも文句はいわないよ」


「あそこならまだ木が少ないから何とかなるんじゃないのか?」


御堂が気だるそうに指を刺した先には木々が倒され、短めな草しか生えていない場所だった。そこならまだ神殿との距離も近そうだったのでそこに着陸することにした。星の大地に降り立つとノアは背伸びをした。


「あーぁ。しかし、なんていうのかな熱さがべったり引っ付いているっていうか」


「蒸し暑いってこと?」


「多分それ。早く行こう。時の巫女たちが待ってる。」


「う、うん」


「ああ」


四人は草木生い茂る中をかき分けながら進むのであった。

◇◆◇◆◇◆


 一方アエナとアッシュは一足遅くアルマデスに着いたのであった。アークラインはグン・グニールも知らずに通り越し、別の場所に降り立った。アッシュはアイリスタルの羅針盤を取り出し、神殿の方角を捜した。


「アークラインによれば、『オラクルの神殿で鍵を示せ、さすれば光の道現れ、世界の理が巫女とその器を迎え入れるだろう。』って書いてたが、神殿ってこんな辺境の地にあるのか?」


「ぼやかないで先に進むわよ。早くワタルと合流もしたいし」


「あいつはここに来るのか?」


「出なきゃ、ワタルを信じてきた私がバカみたいになるじゃない」


「俺の努力が報われると良いが…」


話しながら歩いているとガサガサと草むらを走る音がした。アッシュは警戒しつつ手早く銃を取りだした。


「気のせいか? ここに生命体はいないと巷では噂だぞ!?」


「でも、噂なんでしょ?」


「ここまで発達した自然があるんだ、虫くらいならいるかもな」


警戒しつつも二人は前へ前へと進んでいった。それ以降カサカサという音は二人の足音以外はしなくなったが、それもそれで気持ちが悪い。とは二人とも考えつつも今はそれを考える余地もなく、密林は二人の体力を徐々に奪っていくのであった。

◆◇◆◇◆◇


 ワタル四人もこの蒸し暑さに体力をむしばまれていた。飲料は艦から持ってきた水筒のみ。それもそこを突き始めた。水の国出身のザギャは干からびる寸前まで来ていた。


「ザギャ、しっかりして! ササラの時は何ともなかったじゃないか!」


「ササラ、別に熱くなかった。ここ、暑いのもっとヤバい...」


「確かに、あっちは乾いた風があったからましだったか」


「御堂君は? 大丈夫?」


「人の心配してる余裕あんのか? その前に体力温存…が最優先、だろ」


吹き込む風も熱波で張り付くような暑さは絶えられなかった。ようやく、神殿沿いに流れていた川が見つかり、四人は喜んでいた。持っていた水筒はどんな水質の水でも浄水(飲料水)にしてくれるという優れものだった。すぐに川に水筒を入れて満杯にした。ろ過まで若干のラグがあるが大したものではなかった。給水を取り終わると四人は再び歩き続けていく。するとようやく神殿が見えてきた。神殿にはツタが巻き付いていて入り口もおおわれていた。ノアはようやく来たかとほっと一息をつき、丁度いい大きさの石の上に座った。ワタルとハズキはもう少し気力が残っていたのであたりを散策していた。


「マヤの遺跡とアンコールワットを足して割ったような見た目してんな」


「なんか、賢そうな感想だね。 御堂君はそういう遺跡とか好きなの?」


「好きというか、お前もテレビとかで見るだろ。…だけど、もっとこういうところに美月も連れていきたかった。」


「ほんとに美月さんのこと、大切にしていたんだね」


「……いつか、乗り越えられるだろうか。あいつの死を」


二人が話し込んでいると草むらから物音がした。二人はあたりを見渡すがなにもいなかった。だが、足元を見ると病弱そうな人間が物乞いをするようにせがんできた。


「だ、大丈夫ですか!? 取り合えず、水で、も...」


「おい! どうした佐江内…。...!?」


二人が見たの男の顔は顔面蒼白だったがノアそっくりだった。バラッカスとはまた違う物腰の柔らかそうな顔立ちも元から病弱そうな目元が本当にそっくりだったまるで...


「僕本人だって言いたい顔してるよね...キミは」


ワタルの肩に顔を乗せてきたノアがねっとりとした声で囁いてくる。冷汗が止まらなかった。ハズキも後ろへ後退りして震えながら盾をノアの背中に当てて彼について聞いた。


「こいつは、なんなんだ」


「きみたちが歩めていない世界の残骸…とでもいえばいいかな?彼は僕であって僕ではない。僕は君たちとは全く交わらない次元にいた。彼は君たちが本来対峙するはずのノア。病弱で、何もできない。父親にも見限られ、世界の虚無をただ待つだけの人間。」


「なにを言っているのか、まったくわからない!!」


「すべてはオーガスとか言うやつの欲望が宇宙を混沌に導いた。理由は時間の干渉...だが、君が正してしまった。いや、正確にはゆがませたまま無理やり“正しい歴史”にしたんだ。わたる、でも君自身を責めることはない。僕がついている。僕と一緒に世界をやり直せば本来の宇宙のバランスは保たれる。バラッカスにも邪魔されない。あるべき世界が」


「何言ってるかわかんねえが佐江内、こいつの言葉には裏がある。乗るんじゃねえぞ」


「そうよ! ワタル、その人の言うことを聞いちゃだめよ」


御堂がふと後ろを見るとアエナとアッシュが立っていた。彼らもようやく神殿に到着したようである。


「おう、ザギャ! そんで勇者とシスコン男! 元気そうでなによりだな。ちょっと待ってろ。今すぐそいつをどかせてやる。」


アエナとアッシュは走り出すとノアは二人に気を取られて彼らの剣や銃撃に迎え撃った。アッシュの銃と剣を使った特殊な戦い方はノアを翻弄していた。そして、アエナの大胆かつ迅速な剣裁きは彼の四肢に甚大な損傷を受けさせていた。ノアはバラッカスと同じように腕っぷしだけで撃退した。だが、彼よりは弱く、ケガの治癒能力もなかった。


「アッシュ・ゴ・ルドー、お前さえいなければぼk、、私の人生は狂っていなかった。父の面汚しが私に盾突くなぁーーーーー!!」


急に眼が光だし、彼は両手を獣のように広げて咆哮すると四つん這いになって眼から光線を放った。アッシュとアエナは驚いたが、とっさに左右に分かれて回避した。その威力はすさまじく、二人の後ろに広がっていた密林地帯は一瞬にして消えてなくなっていた。


「ヒュー。やべえなこりゃ」


「私の計画に狂いはない。お前たちはどのようにしても私の描くシナリオには勝てないのだ」


そういうとノアは震えてその場を動けなかったハズキとワタル、ザギャをどかしてノアにそっくりな人間の心臓を手刀で突き刺した。すると、地鳴りがひどくなり、天井からか、地面から鐘の音がガンガンと鳴り響いていた。黄金のようなどす黒いような丸い塊がふわふわとノアの方に入り込んでいった。もう一人のノアの方は粒子状に消えていき、ノアに吸収されていった。ノアは先ほどより醜悪な姿でありながらどこか荘厳で神々しい異彩を放っていた。


「これが、ドッペルゲンガーによる儀式...オラクルの継承か...私は神の力を得た。これで世界は私の手の中だ! フフフ、はははははは!」


「何がどうなってんだ?」


「ドッペルゲンガーって、あの同じ人が2、3人いるってやつ!?」


「ハズキ、ワタル! とりあえずこっちにこい! オラクルの力を持ったあいつは手に負えねぇ、早く逃げろ!」


ハズキとワタルそしてザギャが急いでアッシュの方に逃げていくとワタルだけがこけてしまい、ノアの大きな手に捕まってしまった


「しまっ」


「「(佐江内)ワタル!!」」


「お前は最終儀式に必要だ...一緒にエデムへ来てもらうぞ」



ノアはワタルと共に神殿の中へ入ってしまった。アエナ達は騒然としながら見送るしかなかった。アエナは膝から崩れ落ち、嘆いた。


「そんな。あんなの聞いてない。 あの姿は何? 絶対に勝てない…そんな雰囲気を感じる」


「オラクルの儀式、ジークフリードの本を盗み見たときにそんな言葉が書かれていたな。次元のゆがみと、ドッペルゲンガー、そしてアイリスタルの守護者である時の巫女の共鳴... イフェイオンにいたとき、爆発が起きたよな? あれがそうだって言うのか?」


「わ、わからない...ただ、分かるのは、あ、あいつがやばい奴になったってことだけだ」


「確かにな。共鳴って、あのハズキの妹ってもしかして指輪そのもの...!?」


「……」


アッシュが考え事をしているとアエナの震えは止まり平静に剣を抜き、地面に刺した。そして立ち上がり、鼓舞した。


「助けに行く」


「どうやって?」


「どうやってでもよ!」


「無茶...だ」


「無茶でも無理でも何でもいい! 私たちはワタルに助けられてきた。なんだかんだでワタルに頼っていた! でもこれからは私たちがワタルを守る番! そうでしょ? 確かに相手はものすごく強いかもしれない。でも私はその現実から逃げない! 決して、折れない!」


彼女の言葉を聞いてアッシュとザギャはやれやれと言った顔をしながら手を肩に置きながら彼女と同じ場所に立った。


「無謀でもやって抜けてやるか。お前のお宝奪還作戦を」


「俺、戦闘できない...でもウンディーネで三又トライデント買ってきた。これできっと戦える!」


「あなたはどうするの?ハズキ」


「俺か? そうだな、返しきれない借りを少しでも返すためにもやってやる。ミズキのためにも」



4人はノアが入っていった神殿に入っていった。


一方、ノアとワタルは神殿の奥深くに入っていた。そこにはおおきな壁画が描かれていた。古代人のお湯な人たちが星々がかたどる道を渡っていく様子が書かれていた。真ん中には何やら装置のようなものがあった。装置には手形がかたどられていた。


「さ、お前はここに立つんだ。世界樹のカギは無くてもお前の血さえあればフォトンベルトは開く。あのカギは最後に必要なだけだ。さあ入れろ!」


ワタルの手を無理やり手型にはめ込むと反対側の方から獅子をかたどったような石がワタルの手に覆いかぶさり、そして中側にある針がワタルの手に突き刺さった。


「うわぁああああああ」



「いい音♡」


それを聞きつけてきたかのようにアエナ達が入ってきた。ノアはワタルを引き抜き、近場で放り投げると四人に向かって走り出した。アエナ達も剣や盾を構えていたが、アッシュが銃を抜き出そうとしたと思わせて中から棒状のものを取り出してきた。


閃光棒フラッシュ!!」


彼の声と共に棒が光だし、神殿の世界が白飛びして何も見えない状態になっていた。ザギャとアッシュはは直前にゴーグルをかけていたのでワタルを抱えてアエナ達も引き連れて走り出した。


「走れ! 死ぬ気で走れよ!! 目くらましはすぐに治るさ、明順応ってやつさ」


アエナとハズキはアッシュとザギャに手をつながれ、そしてワタルはアッシュの肩に担がれ神殿をあとした。ノアの遠くから聞こえる声をよそに走り続けた。


「あんな啖呵切っておいてなんだが、最後の最後はやっぱりお前が必要なんだ。 全部とは言わねえ、他は俺らが引き受ける!」


「だから頑張って! ワタル! 私も頑張るから!」


「がんばれとは言わねえ。俺もお前と一緒に世界でもなんでも救ってやる…だから死ぬな!」


「お前の旅は、、俺が、送り届ける!」


四者四様の言葉がワタルを優しく包んだ。ワタルは少し意識が戻っていた。その言葉は彼の胸にしっかりと響いていた。旅を終わらせる。過去の自分からもそれぞれのしがらみからも解放されるためにワタルは胸にこみ上げたものをぐっと胸に秘めて誓うのであった。


5人はアークラインに飛び乗り、フォトンベルトをかけていくのであった。

満身創痍で駆けつけたアッシュ、アエナ。

そして合流したワタル、ハズキ、ザギャ…5人が降り立つのは最後の場所「エデム」

次回「そこに楽園はあるのか」

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