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O27:ズァークの決戦 後編

ジークの呪いは解けた。

旅の終わりを告げるのはこの男なのか…

アッシュの願いは届き、彼がのしかかっていたジークの呪縛は解き放たれていた。ジークは目を覚ますと手で顔を隠した。


「お、重い…」


「あ、あぁ。すまない」


「奇跡が、起きたというの?」


アッシュはジークから離れるとジークはゆっくりと起き上がり、息を整えて話し始めた。


「奇跡、、だろうな。ヒトの想いが時空を超え、散り散りになったアイリスタルに力を与えたのだろう。アイリスタルとはそういうものなのだ」


「ジークフロイドさん、教えてください。アイリスタルとはなんなの? バラッカスはどうして宇宙を壊そうとしているの?」


「すべては私の責任。話そう。アイリスタルは宇宙にめぐるすべての感情をエネルギーに変えて放出する結晶だ。それをいち早く発見して、加工し、全宇宙に均衡を保つ道具にしたのは私自身だ。その事実を隠すために銀河連邦がアイリスタルによって発達した惑星を監視し、お互いをひきつけず、鎖国状態にさせた。平和は多くのヒトによって守られていたが、私とへレイアの行動により、バラッカスは破壊を求めた。 …長いこと話過ぎた、早くバラッカスを止めよう。ここには儀式のカギがあるんだ」



ジークはふらついた足を引きずりながら無理やり立ち上がろうとした。


「まだ無茶だ! あんたは休んだ方がいい」


「アッシュ、巻き込んで済まない。お前は、、」


「誰の子かはもうどうでもいい。俺は俺の道を、、アッシュ・ゴ・ルドーとしての人生を切り開く」


「だが、君たちはバラッカスがどこに行ったか検討もつかないだろう。 体力はいずれ戻る。私がすべてを終わらせる」


アッシュに肩を持たれながらジークの指示の元、広大な大地を歩いていく。人工的な洞窟が見え始めるとバラッカスがそこから傷だらけの姿で現れた。


「チッ、遅かったか」


「ジーク…! 貴様、裏切ったのか!? まあいい。お前たちにかまう暇もない。早くアークラインに乗り込まなければ」


「そうはさせない! あれは私たちの宝よ! 誰にも渡瀬やしない!」


「アエナ・マクスウェル…。破壊を目の前にしてもあきらめないそのまなざし、、どれだけ我を昂らせたら気が済むんだ!!」


バラッカスの顔には笑みを浮かんでいたが、目からは人を殺すのをいとわないような殺気を感じた。アエナの方に拳が飛んでくるとアエナは飛び上がり竜神の剣で腕を切りつけた。浅い、と思った瞬間もう一方の腕がアエナの脇腹に命中した。アッシュもジークを座らせて銃弾を浴びせていった。左手から刀を振り出し、バラッカスの傷ついた生々しい腹部の傷をなぶった。バラッカスは怯んで後ろに下がって膝をついた。その時にカランと金色のカギが落ちた。


「…! それだ。世界樹のカギを…そのカギを奪え!」


ジークの必死の叫びを聞きつけてアッシュはバラッカスが慌てて大きな腕で鍵を取ろうとしたその間に弾丸を当てて鍵をさらに奥へやった。スライディングで腕をすり抜け鍵を奪った。ジークも体力が回復してきたのか、持っていた短剣を持って息を整えた後、バラッカスへ特攻した。


「バラッカス・カリュガ! 覚悟!!」


だが、バラッカスはカギよりも先にジークからの攻撃の防御を選んだ。それでもジークは諦めずにバラッカスの腕を振り払い彼の胸に短剣を突き刺した。バラッカスは勢いにやられて後ろに倒れた。


「今のうちに、行け! こいつの手の届かないとこっ…」


「我は死なないぞ。新人…。」


バラッカスの拳はジークの腹部を貫いていた。それを知ってか知らずか…ジークはバラッカスから小型の手りゅう弾をポケットからくすねていた。


「…っ!! み、ちづれに、、じ、自由は我がてにぃ!!」


最後の力を振り絞って手りゅう弾のピンが抜かれるとバラッカスの手元で爆破され、辺りは煙幕が立ち込めた。煙が遠のくと、そこにある姿は爆死して無残な姿のジークと片腕を失っていたバラッカスが立ち尽くしていた。バラッカスは腕から血を流すもこちらへ向かおうとしていたが気力がなくなったのか、前から倒れてうつぶせになっていた。


「あいつ…。なんで死にやがったんだよ。まだ聞かなければならないことがあったのに!!」


「アッシュ、、あの人のために、ここで立ち止まっちゃダメなのよ。どうにかしてでも前に進んですべてを終わらせなきゃ」


「死んだら次なんてないだろ…。」


「ある!! 私たちがその”次”になるの! 彼らがつないだ希望を届けることが私と、海賊、アッシュ・ゴ・ルドー。あなたの役目! 私たちが、、私たちが……」


アエナが泣き崩れながらアッシュに力強くしがみついていた。アッシュは声もかけずそっと頭を撫でた。


「こんなにさせちまって、ワタルのやつにどやされるぜ。一度は焦がれた俺の身になってくれよ…」


ひとしきり泣き終わった後、再びアッシュはアエナと共にアークラインのある所まで戻ってきた。するとそこにはナーレの他に傷だらけになった銀河連邦のイレーナがナーレの体を庇うように座って待っていた。


「イレーナ長官! 生きていらっしゃったんですね。」


「え、ええ。バラッカスの野望を阻止するためいち早く世界樹のカギを守ろうとしたのですが、圧倒的なパワーの前に敗れてしまった。瀕死の私ができることは途中で見つけたこの船と、あなたの仲間を守るだけ… それでカギはどうなったの?」


「ここに」


「そう、バラッカスも追っていないようですし…。後は、儀式を終わらせるだけですね。」


「俺も知らないんだが、その“儀式”ってのは何なんだ?」


「私にも詳細は分かりません。ですが、つがいの特異点がすることと言えば一つでしょう。」


その言葉を聞いてアエナ少しむくれたが、アッシュはあえてその理由は聞かなかった。時の巫女に選ばれし特異点…男と女がすることはアッシュにも多少理解していたからこそ何も言わなかった。


「ところで、この女性は何をしたのですか? 息はあるのですが全く起きないのです」


「ああ、記憶遡行メモリブラッシュ療法だ。」


「そんな膨大な魔力を使用する治療、銀河連邦駐在の大賢者でも至難といわれているのですよ…。本当にあなた達海賊とはなんと危険なんでしょう...。」


「ああ、危険だ。 だから、こいつを置いていく」


「ちょっと、ナーレを置いていくの?」


「ああそうだ。こんなんじゃ使いもんにならねえ」


「それはいいすg…」


アエナはアッシュの顔を覗き込むとうっすらと涙を浮かべていた。すぐにアッシュはアエナをにらみつけたのでアエナは引っ込んだが彼女はアッシュがこれ以上犠牲を出すまいとふんだ策だと確信した。イレーナも同様に彼の思いをくみ取った。


「わかりました。 銀河連邦の名においてこの少女をお預かりするとともに命を下します。時渡り(キオウレイ)の儀式カライを必ず成し遂げ、帰還すること。以上!」


イレーナにナーレを託し、アッシュとアエナはアークラインに乗り込んで次なる場所へと向かうため世界樹のカギをアークラインに読み込ませると船は次の場所の座標が撃ち込まれていた。そこにははっきりと“アルマデス”と書かれていた。


アークラインはノアたちの目標としていたアルマデスへと向かう。

ワタルとアエナは出会えることができるのだろうか?


次回「オラクル:ノア」

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