第O17話:強襲艦ノヴァ 襲来
ギガノト、ジェノサイド、ビーコン海賊団…三つの勢力は混乱を極め、やがて銀河連邦をも引き寄せた。銀河を駆け抜け、異次元の世界を救え!
御堂は駆けつけてワタルが落とした銃を広い、尋問した。
「おい、お前はなんだ! 何者だ!」
ワタルは異様な姿から、元に戻り、意識を取り戻しつつ
「ボくは、さ江内 渉、他の何者でもない。」
御堂はそっとワタルに銃を返し、ビーコン護衛に向かっていったゼントの方へと向かっていった。
ゼントは冷静に二人と話した。
「とりあえず、何とかなったようだな。ワタル、その奴隷女を連れて戻ってこい。」
「奴隷女じゃ、ありませんよ! か、彼女は、、そういえば、バタバタして君の名前聞いてなかったけどなんて言うの?」
彼女は首をかしげるも、ぽそっとつぶやいた。
「? ん、み、ミア…。」
「ほら! この子にも名前があるんだ。ちゃんと名前で呼んであげないと! ミア、僕はワタル。ちゃんと、ついてきてね。」
ワタルはミアの手をつなぎ、ビーコンへと向かった。
その後、ザギャにゼントがゲンコツをかました後、ビーコンに乗り込んで一旦その場を離れた。
ゼントはザギャの操縦席の背もたれに肘をつき指示した。
「ザギャ! やらかした分はしっかり働けよ!! 船長の義足の信号を追って合流するんだ。」
「わかったから、、どなるな。」
ビーコンはギガノトの都市上空を飛んでいると、こちらに走ってくるアッシュたちが見えた。
彼らと共に、その奥でバラッカスが追いかけているのが見えていた。倦厭しつつも上空を飛翔し続けていると、急にビーコンが傾き始めて、地面に引きずられていった。ザギャは、急な機体の操縦不可能な状態に陥っても、冷静に対処したおかげか、特に大きな外傷はなく不時着した。
バラッカスは邪悪な笑みを浮かべて
「バッカーノ将軍、よくぞ海賊の船を止めたな。」
「こいつらが、デスモフを殺ったのでしょう。報復せねば俺の怒りは収まらん。」
アッシュはアエナ、ナーレを引き連れてビーコンのバッカーノ将軍の元へと向かった。そして彼は、銃を構えて
「俺の女に手ぇだすんじゃねえよ!!」
閃光と共に銃声が何発も聞こえるが、バッカーノの鎧には傷一つつかず、顔や体にもあたっていなかった。
「この俺、バッカーノ様特注の籠手が貴様の弱々しい銃で勝てると思っているのか?」
「俺のジャルサーD48が効かねえってどんな装甲してんだ!」
「んじゃあ、私のベアトリクスも効かねえのか!?」
ナーレは焦った顔でアッシュを覗くと青ざめた表情で
「ああ、おそらくな。」
とぽつりと返しただけだった。一方アエナは後方でバラッカスの侵攻を食い止めるため、再度ビーコンから離れていた。
「女!! いい太刀筋だぁ。だが、狂気が足らねえなあ!」
振り続ける剣を噛んで、アエナごと持ちあげ、左右に振り、そのあと、振り落とすとともに、剣をかみ砕いた。振り落とされたアエナは地面に落ちようとしていたが、ワタルが助けにやってきたのだった。
「アエナ、助けに来た…よ。」
「ワタル、あなたそれ、また力を使って!!」
「多分大丈夫。一時的なら一部の力は使えるようになったんだ。それよりも、今はビーコンに合流して!」
「あなたは?」
「ちょっとだけ時間を稼ぐ。」
アエナは気を付けてとだけ残してそこを後にした。バラッカスが岩のような拳を振り下ろすと、ワタルはぎりぎりでよけきり、銃で何発か打つが、聞いていないようだった。
バラッカスはどんどん近づき、ワタルをデコピンで吹っ飛ばした。
「フン、新型のイレーザー型ブラスターマグナムでもこの程度の威力か。時間稼ぎにもならん。この騒動じゃ、あいつらが来る。ノヴァが現れたら今は面白くない、力を温存するためにもデスクローチを撒いて帰るとするか。」
「兵士の命をなんだと思ってるんだ!!」
「誤解するな、デスクローチは生き物ではない。兵器だ。じゃ、楽しめよ。」
左手の腕時計のような機械を操作すると、バラッカスは一瞬で消えてその代わりにはデスクローチの軍隊が銃を一斉にワタルの方に向ける。ワタルは同じように銃で複数討伐した後、ビーコンへ合流した。
そこには、もうバッカーノもいなく、同じようにデスクローチだけがビーコン周辺を襲っていた。
ナーレ、アエナ、御堂、ドゥージャそれぞれの位置で防衛していた。
アッシュとザギャは船の修理に悪戦苦闘していた。ワタルも防衛に加わるも状況は悪化する一方だった。
ギガノト人たちが加勢してきたのだ。ギガノトはデスクローチを薙ぎ払いながら、こちらに向かってきていた。アッシュもそれに気づき、外に出て加勢した。
アッシュ、ナーレ、アエナはギガノトの戦闘に立つ男を見たことがあった。その男はキュレトーだった。キュレトーは「太陽」のようなシンボルマークの旗印を掲げ、大きな声で同胞を鼓舞した。
「太陽神の名のもとに!」
「「「「「オル・ホルスの名のもとに!」」」」」
キュレトーの剣先はアッシュの持ち合わせのサーベルにいきわたり、アッシュは問いかけた。
「何してんだ、クソ野郎!!」
「よく聞け、私はこの星を守りたいだけだ。 だから、リングを預ける。」
「なぜ?」
「我々は君たちのように自由に宇宙を旅できない。 ならば、君たちに託すしかないだろ? その代わり、バラッカスを絶対止めろ。いいな?」
アッシュは鼻で笑い飛ばし、
「命令されなくても、宝は自分の意思で守るもんだ。そうだろ?」
「宝、か、いいだろう。我々の宝、持っていけ。」
宝を受け取り、ビーコンに戻ったところで上空に巨大な船影が地に降り注いだ。
何も知らないギガノトの民は船影に向かって称えるように
「ノヴァだ!」
「銀河連邦が来たぞ! 暴動を止めてくれ!!」
ノヴァと呼ばれた船からは女性のような声が響いてきた。
『こちらは銀河連邦総司令部、強襲艦ノヴァ。この艦からの命令は総督命令である。だたちに停戦し、海賊は武装を解除し、投降せよ。』
アッシュは慌てて全員を引き連れてビーコンへと乗らせていった。
「あいつらに捕まったら監獄送りにされちまうぞ! 今までのこと無下にしたくなかったらさっさと乗り込め!!」
ワタルたちは言われるがまま乗り込み、ビーコンは離陸していった。しかしノヴァはそれを許さなかった。
ノヴァから放たれた丸い二つのボールのようなものはビーコンを自動で追尾し、ビーコンの船体にひっついた。引っ付いたと同時に電撃を起こし、ビーコンのコントロールを奪った。
かくしてビーコンは強襲艦ノヴァによって連行されていったのだった。
目指すは銀河連邦の本部、『イフェイオン』
第一部完!!
次回からは第二部『最期の旅』編スタート!
次回、O18話:「イフェイオン会議」




