第O11話:ジェノサイド
ワタル達の旅は一度、置いといて、、今回はジェノサイド達メイン回。
宇宙最果ての星、<ジェノス>は光も届かない。
ワタル達がササラで問題を起こしている頃、数万光年離れ、光も行きとどかなくなった宇宙の最果て第12宇宙の暗黒の星、それが“ジェノス”バラッカスらが生まれ育った凶悪な種族で構成された星である。
バラッカス達は時の巫女を抱え、新たな旅路へと向かうため、一度ジェノスに戻り補給を行っていた。彼らが保有するジェノス最大の戦艦グン・グニールへの荷物運びなどは全てダーククローチに任せ、彼らはアジトとして新しく建造していた基地で会議をしていた。
バッカーノ将軍は巫女をイスにくくりつけ、尋問した。
「おい、時のサル巫女! さっさと次の座標を吐くんだ!!」
巫女は彼の異様な容姿におじけることはなく、逆に平然とした態度で彼を煽った。
「おじさん、うるさいよ。て言うか早く帰りたいんだけど。」
デスモフは巫女の意外な様子に横やりを入れた。
「なんというか、緊張感のない種族ですね。ニンゲンというのは・・・まったく嘆かわしい。」
バッカーノとデスモフは一人の人間に戸惑いながら対話を試みるが、人間は状況を把握していないのか、緊張感も焦りもない。恐怖というのも感じられない。そこにバラッカスが現れると彼はニヤリと
して彼女に近づき、
「肝の据わった女だな。だが、お前自身気付いているはずだ。自分に力があることぐらい。そしてそれを我々が欲していることを、たぶらかしているなら褒めてやろう。このバラッカスを貴様のようなサルが手玉に取ったとな! ハハハ。」
「ていうか、うちサルじゃないし!! ちゃんと名前で呼んでくれる?ミヅキって。ていうかおじさん達何?新手のドッキリとか?」
「バラッカス様! こいつの子守はうんざりだ。腹が立って我慢ならん。」
バッカーノ、デスモフが人間にやきもきしているのをバラッカスが面白おかしく見ているとジェノサイドの新人幹部ジークが奇妙なヘルメットのようなものを持って現れた。
「洗脳してしまえば文句は垂れまい。よろしいですね、バラッカス様。」
「好きにしろ、ジークよ。お前は武人のくせ、頭が切れて合理的で助かる。」
美月はその不思議なヘルメットの使い道は理解できなかったが自分に危害を加えるものだと彼女はくくられたイスをガタガタと揺らして逃げようとするがうまくいかなかった。イスと同時に彼女自身も倒れると縄が若干弛み、何とか間一髪逃げる事が出来た。
(この状況一体何なのよ。ハロウィンの暴徒って感じでもないし、ていうかあの日は普通に学校サボってマルキュー行っただけなのに、これがその罰とでもいうの? こんな若くて、横浜○星みたいなイケメンとも付き合えていない女の子がバケモノに殺されるなんてまっぴらごめんよ!)
彼女は知らない建物の中を探り探りで道をたどると大きな武器保管庫に到達していた。
自分より高い棚までずらりと並ぶ見たこともない、いかにもな殺人武器がずらりと並んでいた。彼女は自分の身の危険を感じてとっさに、手に取りやすい足元の拳銃まがいを手に取ると追いかけてきたジークに銃口を向けた。
ジークはゆっくりと歩み寄り
「おにごっこは終わりにして今度は牙を向けてきたか。ニンゲンという生き物は弱いくせに何かと突っかかって来る。お前の兄と言うものにあった。そいつも私に牙を向けた。」
「お兄ちゃんにあったの?」
「ああ、だが、彼のこころはすでに闇に支配されていた。我々はその闇の力を手に入れ、母星の復興を願うただの異邦人だ。・・・どうだ、取引をしよう。お前はこの話を聞いて兄を助けたいと思ったはずだ。そして我々は兄に宿る闇の力を欲する。闇の力を奪ってしまえば兄はきっとお前の元に戻るだろう。取引するか? するならその銃を下せ。」
ジークをにらみ、銃口を向けていた美月はそれを飲み込み、銃を下した。
「良い子だ。」
そう呟いて彼女に近づくと、彼女は急に痛みを訴えた。体は震え、目は白目を向いていた。頭を抱え込み、地面にしゃがみこむと何かの言葉をぶつぶつと羅列していた。ジークはそれをとっさに録音した。
彼女を優しく抱き、船にある彼女の部屋、いや独房に休ませて基地会議室に戻っていった。
イスに堂々と座るバラッカスと腕組みをするバッカーノ、そして頭を抱えるデスモフを見まわして
「只今、戻りました。 」
「おい! サル巫女はどうした! まさか取り逃がしたんじゃないだろうな!?」
「いえ、将軍。 捉えました。しかし、途中彼女は巫女の能力を発現し、今は意識不明となったので船の独房に放り込みました。バラッカス様、これをお聞きください。」
そう言い、再生すると先程の美月の声が流れた。彼女の言葉は支離滅裂のようだが、意味のあるようにも聞こえた。
デスモフは考え込み、そしてあることに気付いた。
「なるほど、次のリングの座標が分かりました・・・。ですが、自信がありません。」
「どうせ消去法だ、勿体ぶるな、俺をイライラさせるな。」
「ヒィ、、! はい、第2宇宙にある巨星“ギガノト”です。」
そういうと一体のダーククローチが慌ててバラッカスらの会議室を訪れた。だが彼らは言語を持たず、ただ喚き散らすだけなので彼の案内に従い、グン・グニールに戻るとバラッカスは
「なるほど、ササラの洗脳虫が意図的に破壊されているな。最後に捉えた映像を見せろ。」
そういって映像を見るとそこにはアッシュ率いる海賊集団がいた。バラッカスの座っているイスのひじ掛けに拳を叩きつけた後、にんまりと笑い
「アッシュ・ゴ・ルドー・・・。あの、厄介者め。ここまで我をコケにしに来たか。どうやら“地球”で仲間も増やしたようだが、どこまで我を喜ばせてくれるのやら。我々も動くとするか。」
そう言った後、全員を持ち場に戻し、グン・グニールは次の星へと向かった。
次回も同じような感じでアッシュ率いる海賊団の話です。
次回「エルフの星・ヨントゥム」




