第O10話:ここにオアシスはない
砂埃舞う惑星にたどり着くもトラブルに巻き込まれるワタル、葉月、アエナ、そしてビーコン海賊団…
彼らは自由に戦うのだった。
灯りはろうそくの火のようにぬらぬらとやんわり辺りを照らすばかりだった。
ワタル、ザギャ、そしてゼントの三人、そしてザーラとアエナがそれぞれ違う牢へと入っていった。
ゼントはポケットから長細い棒を箱から取り出し、それに火を付けた。煙草に似たようなものだろうか。ゼントはボーっと見つめるワタルに
「なんだ、シガールがそんなに気になるのか? 言っておくがこれは貴重品だからあげられんぞ。」
ワタルは床の方に向き直り
「いえ、これからどうしようと考えてただけで。」
「ま、なんとかなるだろ。な、ザギャ。」
入れられた牢の鍵穴をまさぐっているザギャがこちらを向いて
「・・・時間、かかりそう。」
と残念そうに言った。
そんな中、同じ牢に入っていた青年が声をかけてきた。
「君たちは、王に“共食い”の烙印を押されていないがただの盗人かい? なら、脱出は諦めた方がいい。」
と顔をしたままこちらに話しかけてきた。
ワタルは青年の方へ近寄り、
「どういう事、ですか?」
と優しく問うと
「ここには金で雇われて王の犬になった“共食い”がうろちょろしてるぜ。あんたらも、ひょっとしたら狙われるぜ。」
「あなた達の言ってるその、“共食い”って?」
「経典に歯向かって異性間での契りを交わしたやつさ。もちろん、経典なんて王の作ったでまかせ条例だけどな。そのせいで俺達は牢に入れられたんだ。・・・なぁ、君たち強いんだろ?あの王を一緒に倒してくれよ! 君たちがいたらここいらの人間も立ち向かってくれるはずだ。な、頼むよ。」
必死にせがみこみ、ドゥージャの膝にしがみつき、泣きついていたが彼はそれを蹴り飛ばし
「随分とご都合のいいこった。自分は安全な所にいて、俺達に世直しさせろってのか?お断りだね。勇者坊ちゃんもよおく聞きな。俺達は正義のミカタでもなければ、勇者でもない。自由に奪い、自由を愛する海賊だ。それを忘れんなよ。」
ドゥージャは彼に呆れて、シガールを吹き捨てて苛立ちを示すかのようにもう一本取り出し、吸い始めた。そんな中、ザギャは黙々と鍵をこじ開けようとしていた。ワタルが心配そうにザギャのいる牢の入り口を見つめているとドゥージャ・ゼントはザギャを指さしながら
「ザギャはああ見えて器用なんだ。 船のメンテにかじ取り。鍵開けにいたっては十八番とだ。現に、脱獄困難な監獄惑星“ザイード”から脱獄もやってのけてる。宇宙船の強奪、金庫の解錠・・・あいつが開けられないとしたら女の股くらいだろ。」
彼の下品なジョークに空笑いするしかなかったが、そう言っているうちに鍵が空いた。
「さてと、行くぞ勇者くん。キャプテンのお迎えの時間だ。」
ドゥージャは座りこむワタルと腕から引っ張り上げ、ナーレとアエナのいる方の牢をこじ開けた。二回目なのでそこまで時間はかからなかったが、複数の“共食い”の傭兵が囲むには十分な時間だった。
ドゥージャは内ポケットから何かを取り出すとワタルに渡した。
「しばらくはそれで戦え。またあれで暴れてもらっては困る。地球にも同じものあるだろ。確か“銃”と言ったかな。」
確かに見てくれは銃のそれっぽい気がしたが、何かまでは分からない。唯一知っている事と類似してるとすれば引き金を引くと弾丸が出る。それだけだった。アエナは龍神の剣、ナーレは大きな斧のような長物で、ドゥージャはワタルと同じ大きさの銃で迎え撃った。
見おう見真似で襲い掛かる傭兵をいなして行くワタル。彼は、この歯がゆさにどこか懐かしささえ感じていた。一発、また一発と閃光が走っていく。どうやらこれはレーザー銃かなにかだろう。乱雑に撃っていると横のボタンみたいなのが点滅していた。驚いているとドゥージャが慌てて
「バカ! さっさと排熱しねえとお釈迦になるだろうが!光ってるボタン乗せ!」
近くでボタンを押すと後ろのカバーが勢いよく取れて額にぶつけてしまったが、態勢を立て直し、投げ捨てられたまるで大きな電池の見た目をした銃弾のカートリッジを中が空のカートリッジと取り換えた。地上へと登り、王の間へと向かって行く。
ドゥージャを先頭にしてドアが蹴破られた。
すると王が椅子にすわり、二人の踊り子の舞を楽しんでいた。とよく見ると踊り子はキャプテンと御堂くんだった。二人とも嫌そうな顔をしているが無事なようだ。
「キャプテ~ン、おむk、、ブフッ。」
ドゥージャが余りのシュールな風景に噴き出していた。周りのみんなも僕でさえも笑いをこらえるのに必死だった。
「笑うな!! こちとら二時間もこの調子なんだよ! あのイカレ野郎が持ってるリモコンで俺らをダンスのお人形にしてるんだ。早く、てめえらさっさと仕事しろ!」
アッシュのキレ気味な態度にやれやれと言いながら素に戻ったドゥージャは狙いを定め、一発でリモコンのみを打ち抜いた。王がすくっと立ち上がるとどこからともなく衛兵が現れた。ナーレはやっと出番かというように全員の前に出てこちらを制圧しようとする衛兵をなぎ倒して行った。彼女の身長には見合わないオーバーサイズの斧を軽々と振り回し、構えると
「もうさ、あいつ殺してリング奪った方が早くないか?キャプテン。」
「そうかもな、アエナはどう思うよ。」
「ダメよ、ここの人達に迷惑がかかる。それに、彼は今洗脳されているかもしれない。」
確かに王はどこか濁ったような目でこちらを見つめていた。見つめているというより、ボーっとしているように見える。ゾンビのように動く王はこちらに背を向け、秘密の部屋へ逃げ込もうとしていた。
追いかける間に目を凝らすと首元にライトのようなものが点滅していた。
「あ! 「あれだ(あれよ)!」」
アエナとワタルが口をそろえると二人はともに走りだし、
「ワタル、今入ってるカードリッジをこっちに取り換えて。私が照準を合わせるから、迷わず撃って!」
彼女の指示は前と同じく聡明だった。無言でうなずき、立ち止まり、態勢を整える。ワタルが構えた銃にアエナが手を添える。前にも同じことをした覚えがある。僕はこれからも彼女と前に進み続けるんだ!
グリップを強く握りしめる。アエナが照準を合わせるために腕を動かし、呼吸を整え、「撃って!」の合図と共に引き金を引いた。弾道は首元の金属部品に命中した。反動で王が倒れてしまった。近くに歩み寄り確認すると、アッシュが血相を変えて
「こいつはバグだ。」
「なんです? それ。」
「ああ、バラッカスの使う兵器の一つで、相手を洗脳する信号を送り続けるナノマシンだ。羽虫のように偵察もできるし、こんな風に敵陣を混乱させ、壊滅させる。これがあいつの手口なんだ。」
そう吐き捨てると小さな金属部品を地面にたたきつけ、足で踏みつけた。
「さてと、おい、王サマ。起きろって話あんだからさ。」
荒々しくナーレが王の頬を叩きながらおこそうとする。
アッシュが諦めさせて止めるもリングの詳細なありかは羅針盤でも分からなかった。
するとワタルが、
「もしかしたらこの先にあるのかも。」
と王が行こうとしていた、階段の先を指さす。
「確かに秘密の部屋といったら『お宝』だよな。 行く価値はある。」
「なら、お前らで行けばいいだろ。」
御堂が、顎で指示してくる。アッシュとワタルは少し剣幕になりながら前へ進んでいく。二人が進んでいくとそこには予想通り、指輪が真ん中の柱から宙に浮いて輝いていた。アッシュが慎重に取り出し、彼のポケットから取り出された何かを置いて走っていったのでついて行くと
「よし、手に入れた! たぶん大丈夫だろうが、早くずらかるぞ!」
走って逃げていくアッシュ達。それを追いかける僕。一体、これから先何が起こるんだろう。この先もこの人たちと一緒に戦って行くのかと思うと少し気が重くなった。
更新頻度少なくて申し訳ないのです!
頑張っていますので引き続きよろしくです。
次回:「ジェノサイド」(仮)




