第05話:荒れた故郷
こちらではおそらく久しぶりです。
バラッカスとアッシュ、二つの勢力が追い求める「リング」とは?彼らはなんのために戦うのか、そしてアエナ、ワタルの物語がまたも複雑に絡み合う。
剣と魔法とSFが織りなす王道を往く(?)SFファンタジー!
宇宙船の中でワタルと葉月は終始無言だった。
さすがのワタルもバツが悪くなったのか口をひらいた。
「と、とりあえずさ、お互いの事もあまり知らないことだし、自己紹介しない?」
「・・・お前のことなんてどうでもいい。 俺の事もどうでもいいだろ。」
「よくないよ。 これから、きっと一緒に戦って行くわけだし...。」
「名前くらい知っておけばいいだろ。 俺はお前の名前を知ってるし、お前も俺の名前を知っている。それでいいだろ。」
そう吐き捨て、調整室を出ていってしまった。
しばらく一人で座って考え込んでいた。勢いで乗ったものの彼を放っておくと何か大きなトラブルになりかねないだろうし、アエナ達にも苦労をかけそうだ。それにアエナと、これからどうやって一緒に戦えって言うんだ。力も無くなった僕なんて、この船に必要なんだろうか・・・。
考えたまま、目をつむっているといつの間にか寝ていたらしい。
次に起きたのは御堂に起こされた時だった。わざわざ蹴って起こすことないだろ。僕は少し彼をにらんだ。向こうもこっちをにらみ返しながら
「着いたそうだぞ。これからこの先の洞窟でミーティングがあるからお前も来いと、“船長様”のご命令だ。」
内心僕と話しかけたくなさそうな感じで、嫌味たらしく言っていたことには少しムッとしたが行くしかない。
船を出ると何か懐かしい気分になった。
そうか、ここはアエナの故郷だからか。でも、やっぱりここもだいぶ変わっている気がする。野も枯れてるし、街並みも廃れているように見える。誰もいない、荒野のゴーストタウンのようだった。近くの洞窟に船のかじ取りを任されていたザギャが立って手招きしていた。
洞窟の中に入るとアエナや、アッシュ、それにザギャ意外にも二人ほど知らない人物がいた。アエナ含む船の乗組員は棒立ちの御堂とワタルをじっと見つめていた。
「二人とも、まあ座れや。これからの話をする前に、先ずは改めてお互いに素性を知りたいだろうから話して行こう。お前ら、これつけろ。」
アッシュが二人に投げ渡したのはマイク付きイヤホンのようなものだった。よく見ると全員それを付けていた。これは一種の翻訳機か何かだろうか・・・。付けてみればわかるか。
二人が付けると、アッシュがしゃべりだすと少し遅れて同じような言葉がイヤホンから聞こえてきた。
「俺とアエナは地球と似たような言語だからあまり変わらんだろうが、他の奴と会話する時はこれの方が便利だ。 とりあえず、ザギャなんかしゃべってみろ。」
と言うとザギャは黒く丸い目をさらに大きくして驚いている様子だったがしばらくしてゆったりとした口癖で
「・・・ザギャだ。 よろしく。」
それからその横にいた小柄で顔つきも幼く、耳の先端がとがっている人が話し始めた。
「私はナーレ・ザーラ。キズの手当てくらいならしてやるぞ。」
この人は、人間の言う所の女の子なのだろうか・・・。ふと頭によぎったのは
「子供が医者って大丈夫なのか?」
「誰が子供だ! これでもお前達よりだいぶ年上じゃ! お姉さんとよびなさい。」
つい口走ってしまったが、どうやら容姿と関係なしに年齢が上だったらしい。
そして、アッシュの隣にいる爬虫類のような体と顔をした者が話し始めた。
「そして俺はドゥージャ・ゼント。副キャプテンだ。何かあれば宜しく。」
「さてと、、」
キャプテンアッシュが改めて取りしきり始めた。
「俺、アッシュ・ゴ・ルドー率いるビーコン海賊団はなにかとバラッカスとは縁があり、大切な宝を失った。バラッカスの影響で銀河連邦もほぼ壊滅。全員が闇に支配されていた。だが、俺達は違う。どんな事をしてでもあいつから奪われたものを奪い返す。そういう奴が集まった連中さ。お前らも思う所あってきたんだろ。」
ワタルは、声を振り絞るように話した。
「多分。 ・・・教えてもらえますか、バラッカスってどんなやつなんです?」
アッシュはこれから教えてやると言い、話を始めた。
「バラッカスは、戦闘民族の中でもトップクラスで最強を誇る惑星“ジェノス”出身だ。だが、バラッカスはそのジェノス人さえも恐れた殺人や破壊衝動を快楽とする狂楽主義者だった・・・。」
洞窟で彼らが作戦会議をしている頃、宇宙を震撼させる破壊者バラッカスもまた、彼の優秀な部下との作戦会議をしていた。
「バラッカス様、ビーコンにも複数のリングがいきわたってしまった・・・。私めが言うことではありませんが、もう一度考え直してください。リング集めは彼らを殺してからでも遅くはありません。」
バラッカスはひ弱そうな口ぶりの緑色の肌をした人物に近づき、頬を撫でながら
「おお、デスモフよ。お前は優秀な参謀なのだ。だが、その悲観的な考えをなおした方がいい。確かにお前の意見はもっともだ。効率がいい。しかし、、」
と言うと表情を変え、撫でていた右手で首を掴みながら
「俺は、ああいう反抗してくる奴は泳がせておきたいんだよ。意志が強ければ強いほど、壊したときの爽快感は気持ちがいい。分かるよなぁ!!」
申し訳ありません、と繰り返し、泣きじゃくるその人物をよそ眼にもう一人の幹部、四本腕のバッカーノが割って入り、
「お前達の三文芝居は終わったか? 全く面倒で腹立たしい。それにもっと腹立たしい事は使い方も知らんサルどもが持ち出しているということだ。この俺、バッカーノが、使うべきだ。違うか?」
バラッカスはデスモフから手を放し、バラッカスより図体の大きいバッカーノの所へ向かい
「バッカーノよ、憤るのは勝手だが、最もふさわしいのは俺だとわかっての発言か?」
バラッカスが睨みつけるとバッカーノは血相を変えて
「いえ、とんでもございません。失言をお許し下さい。 所でデスモフ! 例の巫女は?」
「ゲホッ、ゲホッ・・・。うるさかったので今は眠らせてあります。 はぁ、、まったく嘆かわしい限りです。あんなサルが巫女に選ばれるとは・・・私なんて何も力を持ち合わせてなんだのに。」
「力なんてものは、誰にでも降り注がれるものだ。サルだろうと誰だろうと弱い奴らから奪い、絶望を味あわせ、全てを壊すのだ!! 新人よ貴様はどう思う?」
新人と言われて意見を聞かれた男は静かに笑い、
「楽しければそれでいい。 良い武人がいれば尚楽しめる。心が躍る。」
「ならば最初のミッションはお前に任せよう。若き狂戦士、ジークよ。」
バラッカスは新人を指さし、命令を下す。新人は胸に手を当て、膝をついて
「お任せあれ・・・。」
ジェノサイドの持つ宇宙母艦グン・グニールが新たな星の破滅へと導いていくのだろうか。
それより先にワタルたちの乗るビーコンが希望の船となるのだろうか。
それは宇宙の真理でさえも知ることはできない。
焦らず、気長に、楽しみながら書いていきますので、毎日投稿とか、定期投稿はお約束できません!
腹立たしいかもしれませんが読者のみなさん、すみません。悲観せずに待って、来た時の喜びを共に共有していければと思います。
次回「メビウスリング」(仮)




