第03話:蛇から龍へ①
投稿出来ない日々が続いておりましたが、投稿します。
蛇に足を付けてしまっても角を付けてしまえば龍にでもなるんですよ。
キャプテン・アッシュはおもむろに右足の靴を脱ぎ捨て、この星の技術とは思えないバイクのようなものにまたがった。また、右足は足先が鉄のようで、変形して丸い棒状の突起が出てくるとそれにあった浮遊するバイクについた穴に通した。
「早くしろ、時間は限られてんだ。」
「はい、行きます。アエナに助けてもらった恩を仇では返したくない。」
ワタルはアッシュの乗ったバイクに彼の後ろにまたがって腰に手を当てた。
少し浮遊感を覚えたかと思うと風を切り、走り出した。壁を伝い、落ちる感触があった。ワタルは目をつぶって分からなかったが、薄目を開けると道路をものすごい速さで奔っていた。風景は一瞬で通り過ぎていく。
彼と話そうとするが風切り音がうるさくて何も聞こえなかったし、聞けなかった。
彼女とどこで、どんな風に出会ったのか、この人が何者なのか、未だに分からない事が多い。この人は異星人なのか?人間と変わらない容姿の宇宙人もって、、アエナもそうなのか。
考えているうちに廃れた渋谷についていた。スクランブル交差点はありえないくらいがらんとしていて、栄えていた町とは思えない。二人して周りを見渡していると此方の方に地響きと共に吹っ飛ばされる人間の姿が写り込んだ。近づくと傷ついたアエナの姿だった。
「嬢ちゃん、お前の騎士連れてきてやったぜ。」
「今は、それどころじゃなくて、あの子が・・・!」
彼女が言って指をさしたその先には楯を持った御堂葉月だった。
御堂葉月の持つ楯は周りがビームのような粒子が円形状になって防御アイテムとして成り立っている。彼は無謀にもそれだけでバラッカスとその部下に勝負を挑んでいる。
部下の腕には少女が抱きかかえられていた。彼女がきっと御堂の妹、美月なのだろうか・・・。
アエナの指示通り、俺達は葉月の元へと駆け寄った。アッシュは苦戦する彼に声をかけた
「よお、即席の勇者さんよ。元気にしてたか?」
「しゃべってるなら、手伝え! ...お前も今更来るな。」
「僕にはやらなければならないことが出来た。それだけだよ。」
三人が話しこんでいると、バラッカスの仲間と思われる人物が現れた。
「敵前での談話とは、全く腹立たしい。この私、バッカーノが三人まとめて相手になってやる。デスモフ、貴様はさっさと“時の巫女”を運びだせ!」
女性を連れている金属のようなボディの男が女性を肩に担いでバラッカスのいる船へと向かって行った。ワタル達の目も前には四本腕が丸太のような怪物が立ちふさがっていた。人間の数倍大きい身体をしている。もしかしたらバラッカスより大きいかもしれない。それくらいの威圧感はあった。
御堂は四本腕を気にも留めず、真っ先に時の巫女と呼ばれた女性のもとへと行こうとしていた。だが、怪物の腕が彼をすくい上げ、投げ飛ばした。それを見てワタルとアッシュは唖然とした。巨大な動く壁が立ちふさがったように感じた。バッカーノはそれぞれの腕で手の指をパキパキと鳴らし、レスリングのような構えからアッシュとワタルのいる方へ突進してきた。
二人は二手に分かれ、回避したものの、この最強生物をどうしたらいいものかと考えるも、あいつは引き続き、襲い掛かる。
「三人で、別々の方向から戦いましょう。一緒にいては危険です!」
「誰がお前の指示なんか聞くかよ! 全員で行くぞ!」
「ここは、キャプテンである俺の言うこと聞くだろ!」
誰もが散り散りになって何もなされず、バッカーノによって圧倒され、吹っ飛び、前衛にいた三人は地面にめり込み、全く動けない状態になってしまった。
「将軍、もういい。時の巫女はすでに我の手中だ。」
「美月を返せ! 異星人っ...! くそっ・・・」
バラッカスは地球に降り立っていた軍勢と共に去っていった。荒れた渋谷はより静かになった。結局、僕達はなにも出来なかった。彼らの圧倒的な力に翻弄されるばかりだった。全員、彼方へと消えた船をただ茫然と見送ることしかできなかった。
次回第04話蛇から龍へ②
宇宙へ旅立ち、向かう先は懐かしきあの場所・・・。




