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第30話:人生で一番長い一日

長い旅は終わり、彼はたどり着く。

彼のいるべき場所へ。



「――くん、佐江内くん。」


ここはどこだ? っ誰だ? 頭が痛い。


「佐江内くん、ここ、教科書の、って頭が痛いのかね? 保健室行くか?」


教室のようだ(?)。混乱してる。とりあえず、センセイに従おう。

僕はフラフラと保健室へと向かった。保健室のドアを開けるのは一年生の仮病以来だろう。

保健室の先生は優しく迎え入れ、何を言ったか覚えてないけどベットに横になった。


いろんなことがよぎる。


あれは全部夢だったのか?


今、何日だ?そもそも


ここは本当に地球か?


とりあえず時間が知りたい。


「すいません、時計見せてもらえますか。デジタルの、奴。」


時計は僕があの世界へ迷い込んだ日だった。



時間が元に戻ってる。じゃあ、僕が暴漢に襲われたこともなかったことになったのか。うん、それは少し、得した気がするぞ。


次に、ここが地球かどうかという疑問は少々怪しいが大体は地球ということで問題ないだろう。




最後の問題は一番立証できない。

・・・いや、思い出した。 眼だ。エルさんに魔王のかけらを封じるために布を・・・無い。明らかに無い。しかも両目とも見えている。とにかく、見てみるしかない。


「あの、もう一つ。鏡ありますか?」


鏡を見る。いたって普通のモブ顔だ。 いや、よく見たら左目の方、赤いような。


詳しく覗くと眼は赤くなったり、黒くなったりを繰り返していた。赤の時、何やら魔法陣が見えた。これは、動かぬ証拠だ。普通の人たちには、それが目視できていないようだ。魔力を少し残した僕にしか見えない決定的証拠。それだけ確認できればいい。保健室の先生に治った事を報告し、教室に戻る。


いつもの教室、みんな僕の事はあまり気にしていない様子だ。彼らにとって僕は学生Aくんだもんな。

そう思いながら生徒全員の顔をなめまわすように見ながら自分の席に座る。


これで分かった。ここは僕のいた世界。そして、アエナ達の世界も本当だったんだ。本当にあるどこかの惑星なのかもしれない。そう考えるのが妥当、かな。


てことは僕、転生じゃなくて転移だったのか。そらそうだよね、今考えたらの話だけど。


そんなたわいのない事を考えていると学校は終わりの会を迎えていた。


今日も何事なく、まあ、何事もあったけど、帰り道を歩いて行く。ここの角を曲がれば僕の家が待っている。僕の家は両親が共働きで時間も合わず、一人で過ごすことが多いのだが、今日に限って家に灯りが付いていた。


僕はそれにとても安心して、口元がほころんだ。鍵を開けて今まで言えてなかったことを言おう。これは普通の言葉かもしれないけど、今の僕にとっては特別な魔法の言葉に変わる。




「ただいま。」




冴えないワタルは普通の、いや今まで以上の生活を求めていた。そんな時、新たな襲来者が押し寄せる。


次章「やはり冴えないワタルは勇者らしい」

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