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悪意のある普遍的な思想

赤黒体液

作者: レー・NULL

 形にならないと、喚いて嘆いて。ぐちゃぐちゃになった肉塊をとどめようと、一生懸命抱きかかえるけど、それは流れて形も何もかも解らない。


「どうして思い通りにならないの」


 赤黒い体液と、黄ばんだ肉塊の混ざり合った汚物。震える手で、丁寧に内臓を元の場所へ戻そうとして、力みすぎて握りつぶしてしまう。慌ててかき集めようとしても、それはもう汚物の一部になって、判別不可能。不可逆の理は、ただ蝕む。


 べちゃべちゃになった泥のようなものを押しとどめようと、今度は袋の中に詰める。腐った肉と、固まりかけた血液と、潰れた内臓を全部、袋の中に詰める。袋に絵を書いて体裁を整えて、ため息を吐いて、最後に脳を乗せた。


 袋を少しだけ破いて、溜まった液体を取り除いていく。鳥肌が立つような匂いを我慢しながら、これは必要な事だと言い聞かせる。水を抜いたら形を取り戻す筈なんだと、色んな色が流れ出る。赤色、黄色、命の色が流れ出る。青色、藍色、死の色が流れ出る。


 あぁ、残ったものはただの固形になった汚物。肉の塊、内臓をかきまぜた後の出涸らし、色を失って少しマシになったように見える何か。だけど、何か気に入らない。求めたものはこれではない。


 流してしまったものはもう元には戻らない。だから、出来るだけ元の状態に戻してから、もう一度やり直そう。袋の中に水を入れた。透明な水を入れたら、肉塊はもう一度泥になった。望んでやったことなのに、不満が積みあがる。求めたものになってない。


 何が足りないのか、考える。そうだ、考える。袋の中に脳を放り投げる。泥の中に脳が埋まって見えなくなった。何をしたかったのか見えなくなった。求めたものが何なのか解んなくなった。


 その形を見たいと思った。だけど、その形が解らなくなった。その形である意味も解らなくなった。その形を求めた意味も解らなくなった。その形とは、カタチとは何だろう。何をそんなにカタチなんて三文字を考えていたのか、それを考えるってなんだ。考える、どういうことだ。何って何か何なのか、よくわからないね。


 手を見たらとてもカラフルだった。

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