断章『夏の日の夢』7
徳川ケイせんせーと武内志門氏は次回、正式登場となります。
今回は中島クルミさんの趣味嗜好に殉じた次第です。
あたしの名は中島クルミ。
かの名高き古代トゥーレ文明滅亡後に復興しかけて潰れたヒュペルボレアス文明の末裔なの。
「クルミン、それはハイパーボレアって発音の方が、スペシャル、スーパー、ハイパーって感じで強そうだから、ハイパーボレアにしたはずだよ!」
「あきらめろユミ。こうなったクルミンは最後まで言わせないと収まらない」
世界中の魔道士や研究者があたしに血まなこ。
ところが、これが捕まらないのよねー。
まあ、自分で言うのはなんだけどさ、狙った獲物は百発百中、
究極至高の天才拳銃使い。
それがこのあたし中島クルミ、愛称クルミン。
「ここで、バキューン、って拳銃のSEが鳴る!」
佐藤トキエ。あたしの飼い主。
抜刀速度0.5秒のプロフェッショナル。
殴り込み上等のクールなケンカ屋。
義理堅く、頼りになる女だ。
「おい、ボクはケンカ屋なんかじゃないぞ! 単に売られたら全部買い取ってるだけだ! あと誤解されるから飼い主とか言うな!」
「トキちゃん、さっきは自分であきらめろって言ったくせにー」
宮川ユミネ。
前世紀の大剣豪・宮川ユウゴの孫娘。
古武術の達人で、怒らせるとなーんでもまっぷたつの怒らせると怖い女だ。
「クルミン、あたしって怖い?」
「ユミがキレると怖いのは事実だな」
武内志門。
ご存知、純喫茶サン・ジトェルマンの店主で、あたしからツケ払いの代金を回収しようと追いかけ回すのが生き甲斐のおっちゃんだ。
「ああ、クルミンくんのツケは、一定額を超えた時点で保護者に直接請求書を出しているのだから、そんなどこぞの警部みたいな真似はしていないよ」
謎の女、徳川ケイ。
女盗賊か女スパイか、このあたしにもわかんないのよね。
いっつもめんどくさくて疲れる依頼ばっかり持ってくる謎の女。
けど、あたしはボインちゃんが好きだから、憎めないのよねー。
「自分のクラス担任教師を勝手に女盗賊とか女スパイにしないで……」
さてさて、こんな一癖も二癖もある連中に囲まれて、今日はどんな事件を巻き起こしてやろうかしらん?
「よしっ、これでオープニングは終わった! ここからCMはさんでAパート開始!」
往年の怪盗アニメ一作めを意識したナレーションを好き勝手に語った中島クルミの前には、純喫茶サン・ジェルマンの店主と彼女の担任であり、ハイパーボレアまじかる騎士団の創設者である女教師徳川ケイ、そして宮川ユミネと佐藤トキエが、あきれ顔で彼女を見ていた。




