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八章『この世の彼方の夢海』18

なるべく、火曜か木曜の夜には更新したい、更新したいのですが……がんばります。

「バーネット艦長! 中枢制御自律演算機構(シャルルマーニュ)に侵入あり! 船体右に接触したあの機体からです!」


ミランダの予測通りの切羽詰まった報告をしてきたフォルタン中尉だったが、その両手は冷静に自席の物理キーボードを叩いて反撃の道筋を模索していた。


「中尉は現状維持と報告に専念してくれ。四半世紀前と攻守は逆転したが、今度は私がこの艦の中枢を守ってみせるさ。各員は戦闘態勢を維持し、敵艦プロヴィデンスを警戒せよ」


記憶にあるカミーユ・デシャルム提督の芝居がかった口調を意識ながらミランダは艦内放送で通達する。それが終わると彼女の意志に応じて艦長席が変形する。


多重思考(マルチシンク)発動」


彼女の両手両足、そして胴体を拘束するパーツが展開し、席自体も床ごと1メールと近く沈降していた。


「なんですかこれ……バーネット艦長?」


フォルタン中尉も他の面々も艦長席のそうした機能を知らずにいた。

この時点で艦の機能を理解できているのは、衛生兵に連れて行かれたカミーユ・デシャルムだけだ。


「私の数少ないヒューマニッカとしての特技だ。それを使って艦の仕切りと害獣駆除を同時並行でやらせてもらうさ」


ミランダの意識は三つの異なる知覚情報を認識していた。

ひとつはこれまでと同じく戦闘指揮所内にて艦長席に座して指揮を執る自分。


「人員の退去が終わり次第、全シルエットキャリバーは船体右側を物理的に破壊してパージしろ。キド大尉、白い敵機は無視してかまわん」


もうひとつは、星の光が欠けた宇宙に緑色のグリッドパターンが敷かれた心霊的な電脳空間内に立つ自分。


「なんだこれは?」


あらかじめ設定されている武装――に相当する防御・索敵・攻撃用プログラムを展開しようとしたミランダは、すでに自分の周囲に浮遊していた見知らぬ武具の数々に違和感をおぼえた。


そして三つめ――それはミランダは意図していなかった認識。


「説明が遅れて申し訳ありません艦長さん。わたくし、この艦にヤドカリしている一文字キクカですの」


床は玉砂利が敷き詰められている。

大規模な屋内運動施設並みにだだっ広いが、壁も天井も樹木の表面めいた何か。

巨大なタマネギ状の密閉された空間を形成していた。


「その声……さっきの……デシャルム提督が言っていたこの艦の守護天使? それにここは?」

「ここはVA源動基(もーたー)の中ですの。時が圧縮されているとはいえ切羽詰まっておりますから、手短に説明と武具の引き継ぎですの」


精神感応で語りかけているのは巫女装束をまとう黒髪の少女だったが、その姿は半透明であり、ミランダは、幽霊という言葉を連想させられてしまった。

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