五時限目は自習です
自習の時間で真面目に勉強する人およそ四十パーセント。昼食後の睡眠をとる人およそ十パーセント。残りの半分ほどは、ノートに落書きをするとか窓の外をぼんやり眺めてみるとか、勉強しても寝てもない人。ぼくはこれだ。
世界史のノートの一番後ろ側を開き、そこへさらさらと書き込むつもりだったけど何も書けない。結局シャープペンシルでリズム打ちをすることしか出来なかった。
ミサキが死んだときいたのは、ミサキが死んでからどれくらい経った時なのだろう。
あいつが死んだのは葬儀の二日前で、ぼくがその事件の事をきいたのもその日だ。彼女のご両親に一応、一報もらって葬式に脚を運んだ。
ぼくがクラスメイトの中で一番だったのかな。それは知らない。でもきっと担任が一番で、その後くらいかなと自分で勝手に想像している。心のどこかでそうだったらないいなと本当に思っている。
田戸と春芳はどこへ行ったんだろう? とその時思い出した。春芳なんかは、自習が始まって少し経ったら来るんじゃないかなと思っていたけど、一向に来る気配がない。
幸い、教室には誰一人として先生がいない。黒板に「自習」と白いチョークで何も言わずに書くと職員室の方向へ行ってしまった。
五時限目が始まって二十分経った。




