葬儀
ミサキが死んだ。
あまりにも唐突な話で、ぼくは理解できなかったのだ。
その事実を飲み込めないまま、ぼくは学生服を着て、ミサキの葬式へと脚を運んだ。ミサキの家までの道は知っていたのだが、知らない細い路地に何回か迷い込んでしまい、予想の時間を大幅に超えていた。
葬儀は彼女の家で行われており、ぼくが家に着いた時にはもうクラスメイト達がいた。
大きな声で鳴きやがるアブラゼミを横目に睨みながら門を潜った。その蝉と一緒にミサキと仲良くしていた女子の泣き声が耳に確かに届いた。
気がつけば、葬儀は終わっていてまだまだアブラゼミが一生懸命訴え掛けている。何でそんなに煩いんだ少しは黙れないのか。
「良太、大丈夫か」
と声をかけてくれたのは、春芳だった。
「大丈夫とか、そんなんじゃない感じ。そもそも実感が無いというか」
「そうだよな。俺もまだ信じられねえ」
「だよな……」
二言三言言葉を交わしただけで、ぼく等の会話は終わった。
ローファーの音というのは寂しげにさせるなとぼくはそんな事を考えながら、ただぽつぽつ歩いた。
春芳もぼくの横にくっ付いて歩いた。
葬式の帰りというものはこんなにも寂しく、息詰まるものなのか。ぼくは今日まで知らなかった。