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Il sogno ottobre 31

作者: 詩月

 10月31日0時。一人の少女は眠りにつく。


 深海の中にいるような感覚からふわっと浮かぶ感覚。ゆっくりと目を開くとわたしは見覚えのない場所にいた。

「…あれ?ここは…?」

 口が…勝手に動いている…?まるで心と身体がバラバラになってしまったみたいだった。どうして!?わたしは目を開く前の記憶を必死に漁った。そうだわたしはベッドで寝て…。

 ここは…わたしの夢?

「!」

 わたしが答えにたどり着くとわたしの身体は思い通りに動くようになった。不思議なことに身体の重さは感じない。やはりここは夢の中なのだ。

 これが友達の言っていた覚醒夢…?


『うちね、覚醒夢が見てみたいな~明菜は覚醒夢って知ってる?』

『覚醒夢?何それ』

『えーっとね、夢の中って普通無自覚に見るって感じでしょ?だけど、覚醒夢は普通の夢と違ってこれは自分の夢って認識してるから夢の中で自由に行動できるんだってー』

『へぇー、何だか楽しそう』

『でしょー!』


 夢と分かれば怖くない。わたしは状況を把握するために辺りを見回した。一通り見てわたしは思った。

「遊園地みたい」

 空は真っ暗な闇が広がっている。対照的にわたしのまわりは夜とは思えないくらいに明るかった。オレンジや黄色、紫や黒中心の装飾がキラキラと輝いている。ハロウィンみたい。いや、絶対ハロウィンだ。目と鼻がくりぬかれた可愛らしいカボチャ、コウモリや蜘蛛と蜘蛛の巣があちこちに置かれ、道行く人は皆、魔女や吸血鬼のコスチュームに身を包んでいた。わたしはハロウィンの世界に迷いこんだみたいだった。この街は全てがハロウィン仕様だった。

 しばらくふらふらと歩いていると一つの店の前に着いた。ヨーロッパの家みたいで素敵な外観だった。少しだけ中を覗いてみたい。わたしはそーっと扉を開けた。

「いらっしゃいませ」

 中に入ると執事のような男の人がレジの近くにいるだけだ。今はこの店員一人しかいないみたいだ。

 このお店は様々なハロウィンモチーフの雑貨が置かれていて雑貨はどれも可愛く、個性的だった。

「いいなぁ…」

 わたしは一つ気になったネックレスを手に取ってみた。雫の形をしたオレンジ色の石がついたネックレス。石の中にはコウモリの羽をモチーフにしたパーツが埋め込まれていた。

「それが気に入ったのですか?」

「えっ?」

わたしが横を向くとレジの近くにいた店員がいつの間にかわたしの隣にいた。店員はよく見ると若く、20歳くらいだった。店員は柔らかい笑みを浮かべながら話を続ける。

「そのネックレスはトパーズでできているんです。もちろんハロウィンをモチーフにしてね、きっとあなたによく似合うと思いますよ」

「あ…えっと…」

 どうしよう。ここは夢の世界。お金なんて持っているわけがない。そもそもお金のシステムはこの世界ではどうなっているのだろう。とにかくわからない以上は買えない。

「あの…わたし、お金持っていないんです。少し見にきただけなんです。ごめんなさい」

 店員はわたしの言葉を聞くとネックレスをわたしから取りレジの方へ向かっていった。わたし何かまずいことを言ってしまったのかな…。わたしは不安な気持ちになった。しばらくすると店員は再びわたしの方に向かってきた。怒られるかもしれない。そう思っていると店員はハロウィンのラッピングがされたものを手渡してきた。

「どうぞ?」

「あの…これは?」

「これは?って先程のネックレスですよ?」

「えっ!?でもわたしお金っ…!」

「お金なんて夢の中のこの街では必要ありませんよ、これは確かに売り物ですが値段などはありません。欲しければレジに持っていくだけでいいんですよ」

「そうなんですか?」

「はい、だからこれはあなたの物です」

「ありがとうございます」

 でもここは夢の世界、きっとこのプレゼントは手に入らない。素敵な夢。正夢だったら良かったのにな。

「おまけでお菓子とハロウィンのメッセージカードをつけときましたので是非見てみてくださいね」

「はい」

「ありがとうございました、またのご来店お待ちしております」


「明菜!朝よ~起きなさーい!!」

「っ!」

 重力が一気に身体にのしかかる。目を再び開くとそこは自分の部屋だった。

 わかっていた、わかっていたけどやっぱり全て夢だったんだ。いつもより重たい身体を起こすと昨日の夜、寝る前には無かったものがわたしの机に置かれていた。

「何でっ…これがここに!?」

 それはどこからどう見ても夢の中で店員からもらったラッピングの袋だった。慌てて中身を確認する。そこにはトパーズのネックレスが綺麗に包まれて入っていた。あれは夢の中の出来事だったはず。まさか本当に正夢に?袋を見ながらただただ混乱していると、一枚のカードと飴が入っているのに気がついた。カボチャのイラストが入ったカードを見ると店員の手書きと思われるメッセージが書かれていた。

『この度は私の店をご利用していただきありがとうございました。ネックレス喜んで頂けましたでしょうか?こちらのネックレスや夢に関することはあなた様の心の中にとどめていただけるようお願い申し上げます。当店及び私共の街はハロウィンの日にしかご利用できない決まりとなっております。来年のハロウィンでまたのご来店お待ちしております』


 わたしはメッセージを読み終えるとネックレスとメッセージカードをラッピングし直し引き出しの奥に入れた。これは大切に保管しよう。次のハロウィンにはこのネックレスをつけてまたあの店に行きたい、そしてあの店員さんの名前聞けるといいな。

 飴だけは長い間保管するのもあれなので食べることにした。学校に向かう間、わたしは飴を食べた。

 不思議なハロウィンの夢の中素敵な雑貨を売る店員さんから貰った飴はとても優しい甘さの飴でした。

ハロウィンをテーマに短編小説を

書かせていただきました!

…が10月31日に間に合いませんでしたっ

後書きを書いている現在の時刻は

11月1日午前0時47分なので

かなりの遅刻ですね

10月31日の昼(昨日の昼)に

慌てて書き始めた作品なので

話がわかりにくかったかも知れません。


そして詩月にとってこの作品が初めての

完結済みとなります。

何とか書ききれてよかったです!

もし最後まで読んでくださっている方が

いたら本当に嬉しいです♪

ここまで読んでくださり

ありがとうございました!!

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