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六、敢為邁往、其の二

今回は家康視点でお送りします。

というか遅れまくってすいません。

夏休み⇒課題祭り

夏休み明けから今日まで⇒テストSP

もうやだ・・・

卯の刻、明朝から敵陣に攻撃を仕掛けすでに四刻の時が経っているが

第一陣すら破ることが出来ぬ・・・


第一陣の左衛門尉(酒井忠次)に突撃され敵の第一陣を押し捲ったが

崩れさせることは出来ず、前線は膠着してしまっている。


後詰を出したいが相手の第二陣に控えている朝倉軍が気になるところだ。

下手に動かして中入りなんてされたら目も当てられん。


それよりも不気味なのは敵の第一陣だ。

どんなに攻め立てても崩れず

まるで敵の手のひらの上で踊らされているようだ。

指揮をとっているのは恐らく若狭武田の当主ではないだろう。


聞けばまだ武田の当主は若年。

あんないなし、かわす指揮をとれるのは一族の長老格か宿老か

戦慣れした者のものだ。


そんな本日何度目かの思考をしていると敵に変化が現れた。

敵の先陣が我が軍の先陣の右翼へ回りこみ

第二陣を押し出してくる。

このまま左翼へ回り込まれれば数に劣る我らは包囲殲滅される。

その前に小平太(榊原康政)を送り込み

右翼には平八郎(本多忠勝)に手勢を与え迎撃させる。


__________________________________


本陣を前に出し、豊富になった兵力で徳川の先陣を包囲する。

それでも崩れぬが何時かは蓄積した疲れで崩れるだろう。


しかし家康は現状を、俺の策どおりに進ませてくれなかった。

敵も先鋒に増援を出した。

五百にも満たぬ兵だとたかをくくる俺だったが、今の光景に目を見張る。


先鋒が崩壊した・・・

そして俺は先鋒にこれ以上犠牲を出さぬために先鋒を撤退させ

本陣で敵を引き受ける。


その最中俺は考える。

いくら精強な三河兵とは言えそう簡単に勢いの乗った敵を駆逐できるはずがない。

ならばあり得る線から考えれば、答えは二つに絞られる。

一つは、最新鋭の戦術ないし、兵器を運用する。

もう一つは、他を凌駕し圧倒する武勇。

正解は恐らく後者、この時代の最新兵器は鉄砲だが

家康はケチだから信長ほど一括集中運用出来んだろうから効果が出にくい。


だが俺の思ったとおりにはいかない。

先鋒を先に撤退させるという俺の窮余の一策は所詮時間稼ぎにしかならず

本陣の周囲は徳川の兵によって囲まれてきた。


そして陣幕を破り、戦況を覆した武将が姿を現す。


「武田菱の旗印に大鎧の童子、若狭武田家当主武田孫八郎殿とお見受けいたす、その御首みしるし頂戴いたす御覚悟召されよ。」


頭に被る鹿角脇立兜に肩からさげた大数珠。


後の世で戦国最強の武将として知られる男

生涯合戦で傷一つ負わず、

徳川四天王・徳川十六神将・徳川三傑の全てに名を残し、

天下無双と言われる、

歩くガチ戦国無双。



「ほ、本多忠勝・・・・・」


今本陣にいる兵は十人足らず、

将棋で言えば既に詰み、忠勝からすればもう既に首は獲ったようなもの。

「殿、ここは我らにお任せを・・・落ちて生きてくだされ。」

俺の盾として死ぬ覚悟を決めた目の前の旗本が俺に生きろと言う。


「スマンな、お前達の覚悟を踏みにじってしまうが・・・俺は逃げない。」


だが、逃げない。

今目の前で、本陣の目の前で命を賭けて戦う家臣たちがいる。

大将としてその者たちの命を背負わなければいけない。

責任から、恐怖から、現実から逃げてはならない。


「・・・では、そろそろいかせてもら「暫し待たれよ!」

忠勝が槍を構えたその時、どこからか大音声が聞こえる。


そして俺の後ろから陣幕を破ってその正体を現す。

「真柄様・・・。」

北国の豪傑、真柄直隆がヒシヒシと威圧感を出し歩いてくる。

「孫八郎、よくぞ耐え抜いた・・・撤退しろ。」


「・・・すみません、そんなこ「東を見よ」


言われた通り東を見ると、戦況は大きく変容していた。

浅井優勢だった戦場は、いまや織田家に覆され浅井は敗走を始めていた。


・・・そうか、横山城の抑えとして置いていた織田軍が浅井の左翼を衝いたのか。


俺が戦況を把握したのを見て真柄直隆は続きを言う。

「既に孫三郎殿は撤退し出しておる。

殿は我らが引き受ける故、安心して撤退いたせ。」

「しかし!」

「この戯け者が!・・・・・殿は戦場の華、年長者に譲るものぞ。」


俺は我を通さず真柄様の言うことを聞き、撤退を指示し

真柄様たちが抑えてくれている内に戦場を離脱する。


数を減らした兵を率い北国街道を北上し撤退して行く最中

今日この一日で俺はかなり年老いたように感じる。

一体何人の兵を失ったのだろうか。どれだけ損害を負ったのだろうか。

俺の采配で何人の人を殺したのだろうか。

ゲームじゃ感じることの出来ない現実リアルを生きる人の命の重さ。

自分の指示で何十何百という人が死ぬ。

その実感は、軽く命を考えていた今の俺には重すぎた。


こうして俺の初陣は敗北で幕を閉ざしたのだった。

一体何ヶ月ぶりの更新だろうか・・・

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