46-Bad Blind-
「・・・・・・」
隼人の家に行くと、一台の黒塗りの車が有った。
恐らく、隼人の何かなのだろうけれど・・・・・・。
もしかして王城グループの誰かだろうか?
思いつつも、玄関の扉のドアノブに手を掛けた。
開けると正面に隼人が居た。
ジーパン、半そで、赤いチェックのシャツを来て、首からヘッドフォンを提げていた。
「ああ、嘉島君。おはよう」
「おはよう。目覚めたら次の日だったから驚いたぜ」
「あの世界は『夢』だから、あの世界から去ると『寝た』ということになるらしいね」
「なるほどな・・・・・・」
で。
本題に入ろう。
「何処かへ行くのか?」
「ああ。病院だよ。君も行くかい?姉にも会いたいだろう?」
「・・・・・・うーん・・・・・・じゃあそうするかな」
俺は隼人より先に玄関の扉を開けた。
「・・・・・・」
目の前の車から男性が1人降りてきていた。
その男はタバコを口にしていた。火はついていない。そしてつける気もなさそうだ。
超美形でオールバックの気のいいお兄さん。しかし目のきつさからか、近寄り難い雰囲気をかもし出している。
強いて言うなら・・・・・・元ホストの高校生か?
「・・・・・・あぁ、嘉島か。お前も行くのか?」
その男は俺の顔を見てそう言った。
「え」
・・・・・・この人俺と会ったことあるのか?
「隼人は・・・・・・まだなのか?」
「・・・・・・は、はい・・・・・・」
「何だ?急に堅苦しい挨拶しやがって・・・・・・今までためだったじゃないか」
「・・・・・・え・・・・・・?」
いや、待て。
この人の雰囲気・・・・・・。
「嘉島君、どうかしたのか」
隼人が出てきて、固まっている俺を見て隼人は言った。
「おう・・・・・・来たか」
「あ、来てたんだ。東先輩」
「・・・・・・ん?」
東先輩・・・・・・?
視線を男の人に向ける。
リーゼントではないが・・・・・・目や喋り方などからわかることもある。
ああ。
本当だ。この人は間違いなくあの人だ。
「今回のことで俺は自分の力の無力さを感じた。で、義賊をやめて本格的に正義活動をしたいと思った・・・・・・というよりは、お前らに協力すればいいんじゃないかと思ってな」
言いながら東先輩は車を運転し続ける。
「・・・・・・あの確認していいか?」
「何だ」
「東先輩、高校生ですよね?」
「・・・・・・」
「車の運転していいん「正義に犠牲は付き物だ」
東先輩は逃げた。
「で色々あって『暮射』を引退して、隼人の付き人の役割を確保した」
「というわけなのさ」
そう言って隼人は笑った。
ふーん・・・・・・。
まぁ彼らにはそういう生き方がぴったりなんだろうな。
3人全員、自由を求めている。
東先輩も今日元さんも隼人も自由のために行動している。
だったら、俺は。
俺は何のために行動しているんだろうか。