45-Mine My-
次の日の朝。
「なんと!!」
目覚めると俺はそのまま隼人の家に居た。
恐る恐る携帯電話を開いた。
・・・・・・!!
着信履歴が悲惨な事になっていた。
主に妹。次点で母。そして兄が1回のみだが、最初だった。
「・・・・・・」
心配させすぎだな・・・・・・。
やっぱり死ぬわけにはいかないんだけどな・・・・・・。
俺は部屋を出ると、隼人はまだ寝ているようだった。
俺はそのまま家を出て、1度家に帰った。
「お前・・・・・・なにやってんだ」
兄・・・・・・響也が居た。
息を上がらせて、座り込んでいる。
「隼人の家に泊まってたんだ」
「そういうことがあるならちゃんと言え」
「・・・・・・どうかした?」
「何もしてない。が・・・・・・疲れた」
そう言って響也は家の中に入っていった。
玄関の扉が閉まってから、俺も続くように入っていく。
「あ・・・・・・」
目の前には母が居た。
「・・・・・・ただいま」
「おかえり。隼人君の家にいたのね?」
「ああ・・・・・・迷惑掛けた・・・・・・」
「それは響也と奏に言いなさい。響也は夜中ずっとあなたを捜していたし、奏は早朝からご飯を作って待っているわ」
母は淡白だ。いつも淡々としている。別に父や姉の所為ではなく、昔からだ。
この話を隼人としたとき、
「奇遇だね。僕の母もそんな感じだよ。無駄な事は話したくない主義だからね」
と言っていた。
俺の母は別に無駄な事を話したくないわけじゃない。単純にしゃべりに感情がこもらないだけだ。
よく分からないが、昔からそうらしい。
母がリビングに入った。俺も続いてはいると、奏はソファで寝ていた。
「・・・・・・今日は」
今日は土曜日だった。学校は無い。
「・・・・・・」
俺は奏をお姫様抱っこの姿勢で持ち上げた。
それから2階に上がって、奏の部屋の扉を開けた。
小学生とは言え、あらゆるものに気を遣っているのだろう、いい匂いがした。
そのまま奏のベッド・・・・・・下に机があって上にベッドがある、二段ベッド方式のようなベッドに寝かせてから俺は部屋を出る。
それから隣の部屋をノックする。
・・・・・・返事が無い。
ただの屍のよ「居る?」無駄な事を考えながら入り込んだ。
「・・・・・・響也ー?」
「・・・・・・」
俺と響也と奏と響。全員同じ部屋のサイズだが、デザインはそれぞれ好きなようにしている。
それを含めた上で言っておく。
響也の部屋は和室仕様になっている。
そして響也は。
「・・・・・・」
ドラえもんのように、押入れの中で寝ていた。
「・・・・・・サンキュー、兄さん」
「・・・・・・」
響也にそう言ってから、俺は部屋を出た。
「響也を兄さんって呼んだの・・・・・・いつ振りだろうな」
そう呟いてから、俺は私服にに着替えた。昨日の夕方から制服だったらしい。
着替えを終えて、俺は家を出た。
「お兄ちゃん!」
「あ」
妹さんが降りてらっしゃった。
「最近、どこ行ってるの!また昔みたいに危ない事に首突っ込んでるんじゃ」
「そんな突っ込んでないよ。心配するな」
「おかしいよ・・・・・・お兄ちゃんは事故の日から、今までとは違って危険な事に首を突っ込むようになったって、響也も・・・・・・」
「・・・・・・心配するな。だけど、俺はこれからもっとやばいものに首を突っ込むぞ」
「そんな――」
奏はそう言って悲しそうな顔をする。
うーん・・・・・・どうしたもの・・・・・・か・・・・・・、
『俺の頭の中で狂う』
「大丈夫。昔から言ってるだろ?俺は死なないから」
俺は奏を軽く抱いてから、
「行ってくるよ」
と言って外に出た。
『狂ったものが戻っていく』
「・・・・・・な・・・・・・なんだ、今の・・・・・・」
どうなっているのか分からない。
だが、1つ分かるのは今のは俺じゃないということだけだ。
・・・・・・。
考えたところで分からない。
だったら仕方が無い。
俺は静かに歩き始めた。