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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
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39-Dead Accident-


 矛盾点が多くて困っています。

 あの日から10日たった。

 お互いの意味の分からない力の話をした。楽しい日々を送っていた。

 そしてようやく胸のうちを話のが、その日だった。


 僕らを街を歩いていた。

 広場のベンチに座り会話をする。

「20日!?」

「うん。後、20日だよ」

「え、お前、はぁ・・・・・・!?」

「1回落ち着けよ、奏明」

 僕はそう言って奏明を制す。


「・・・・・・不治の病って・・・・・・どういうことなんだ?」

「お前の姉みたいに植物状態にもなれないくらいの不治の病らしい。発症する時期も大まかにしか分かっていない。だから20日って言っても、もしかしたら明日には死ぬかもしれないし・・・・・・」

「どんな病気何だ?」

「話によると、急性心臓麻痺って感じかな?でもそんな単純なものじゃないらしいよ」

「らしいって・・・・・・」

「よく分かってないんだよこの病気も。ただ1つ分かっているのは、発症したらすぐにあの世逝きだそうだ」

 僕は言ってから立ち上がった。

「・・・・・・大変だな、お前も」

 奏明はそう言って笑う。

「でも大丈夫そうだな」

「は?」

「お前なら長生きしそうだ」

「何でそんな根拠の無いことばかり言うんだよお前は・・・・・・。希望的観測しすぎだっつーの!」

 僕はそう言って奏明の体を軽く突き飛ばした。

「うぉあ!」

 奏明は叫び声を上げてしりもちをつく。

「うぉ!?大丈夫かよ・・・・・・」

 僕は右手を差し出した。

「あぁ・・・・・・ちょっとビックリしただけだ」

 そう言って奏明は俺の手を取る。


『俺ももうそろそろ・・・・・・』


 奏明の声が聞こえた気がした。

 いや。

 右手で触ったから、心の声・・・・・・。

「・・・・・・奏明、お前・・・・・・」

「・・・・・・え?」

 奏明は右手を見る。

 それから

「ああ・・・・・・」

 と言って苦笑した。

「俺は多分、もうすぐ死ぬ」

 奏明は笑う。


 椅子に座りなおし、会話を始める。

「俺の左手・・・・・・お前も触れただろ?」

「・・・・・・」

「アレで俺は自らの生命力を送った。それで皆が少し元気になる」

「僕も・・・・・・それは受けた」

「だろ?」

 奏明は笑う。

「何で・・・・・・何でそんなに笑うんだよ」

「・・・・・・?」

「何でそんな笑ってられんだよ!!」

「おいおい、落ち着けよ」

「落ち着いてられねーよ!お前、死ぬの分かっててこんなことばっかりやってんのかよ・・・・・・」

「そうだよ」

 奏明はまたも笑う。


「俺は誰かを助けて死ねるなら本望だ。そういう生き方・・・・・・嫌いじゃないからな」

「・・・・・・どんだけプラス思考なんだよ・・・・・・」

 僕は呆れて笑うしかなかった。

「・・・・・・行こうぜ。お前も長々と病院抜け出すわけには行かないんだろ?」

「まぁな。向こうからすれば僕は研究材料だから」

 僕らは立ち上がる。

 そして帰り道に立った。


「お互い長生きしたいもんだな・・・・・・」

「無理だろ。少なくとも僕は」

「そうか?でも俺は――」

 奏明はふと横断歩道へ目を向けた。

 そして目を大きく開いた。


「あ――」


 信号、赤。


 横断歩道。


 車、少年、ボール。


「くっそが!!」


 奏明は走った。

 運動神経はいいのか、走るのは異常に速かった。

 そして少年の体を押す。


 少年の体はその衝撃で車の直線上には居なくなった。


 そしてその衝撃で奏明の動きは止まった。


 それはつまり――。


「奏明――!!」


 奏明の体は吹っ飛んだ。


 宙を舞った。


 目の前に落下した。


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