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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
68/81

34-Endless Less-


 知るか。


 俺は俺だ。


 味方なんか始めからいなかったようなもの。想像で創った俺の世界がたとえ崩壊しようがしまいが、それは俺の人生には関係ない。


 姉は関係ない。


「関係ないんだよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」


========================


 今日元が立ち上がり、叫んだ。


 気迫。

 ただの気迫だ。明らかにそこにアクターの感じは無い。

 しかし、それは俺達の勢いを消すには十分何かだった。


「な、何だ!?」

『これは一体・・・・・・』

 隼人と今日元さんのあわてる声。

『・・・・・・気をつけろ、お前ら。何かおかし――』

 ブツッ。

 という音を立てて今日元さんの声は聞こえなくなった。

 それを合図に家が変化する。


「うわ!」

「く!」

 東先輩と隼人が倒れる。

「大丈夫か――う」

 頭痛が走った。

 俺の体も静かに崩れ落ちた。



 気付いた時には、俺は立ち上がっていた。

 真白な空間に居る。奥もなければ、上もなさそうだ。


 隼人と東先輩は横に居た。


「・・・・・・君らが今日元の望んだ相手?」

 目の前に1人の人間が居た。

 その姿は今日元だったが、車椅子に乗り、目には眼帯をしている。

「何だ、お前」

 俺の質問に帰ってきた答えは

「クレイジー・シーン」

 と簡潔だった。


「な・・・・・・」

「彼は僕と繋がったね。完全にリンクした」

「どういうことだ!」

 東先輩が訊く。不謹慎ながら言わせて貰えば、あんたが聞いても分からないだろう。


「彼の強い願いによって、2、3、4を飛ばして最終形態にまで到達したのさ」

「最終形態・・・・・・」

 隼人が言葉に引っ掛かったようだ。そして思案するよな顔をする。

「もう今日元は居ないよ。立場逆転だ。ここは今日元の脳内。彼の想像の塊。そして君らの相手は僕だ。どうする?多分君らは勝てないよ」

「出してくれって頼んだら出してくれるのかい?」

 隼人はこんな状況でも相手を挑発する。

「・・・・・・どうだろう。彼の願いは『姉へ絶望を与えたい』という願いだ。んー・・・・・・、君らを殺したところで今日元終に絶望が与えられるかどうかは・・・・・・」

 1人ごとのように男は言う。

 男・・・・・・クレイジー・シーンだ。

「まあ、言っても僕の体はこんなだから。君らでも勝てると思うけど」

「先手必勝だ」

 そう言って東先輩は走りこむ。

「後手必殺ってね」

 男はそう言って右手を突き出す。

 手に青い球体が作られ、それが東先輩に向かって飛ぶ。

 反応できる速度じゃない。

「が・・・・・・!」

 東先輩は球体が当ると、目にも留まらぬ速さで俺達2人の間を突き抜けた。

「え――」

「おっと、壁を忘れてた」

 そう言って男は右手の指を振った。

 柱が突如として現われ、東先輩の体がそれに衝突して――。

 さらにその柱を突き抜ける。

「あれ?」

 そう言って男は新たに柱を幾重にも出す。その柱を4、5本突き抜けてから、東先輩は床に落ちた。


「な、何だこれは!」

「クレイジー・シーンさ」

 言った男は目の前に居た。

 車椅子は放置されている。

「え――」

「目に見えているものが全て本当だと思うなよ。この世界は全部が全部」

 隼人の体を右足でける。

 すると隼人の体は乱回転して飛んでいく。


狂った場面クレイジー・シーンだから」


「今度は上手くキャッチするぜ」

 そう言ってガチャガチャのカプセルのようなものを出した。

 そしてその中に隼人の体を入れて、ふたを閉める。

「酸素は何分持つかな」

「お前・・・・・・!!」

 俺は拳を突き出す。

 男はそれを避けて、眼帯を外した。

「目からビーム」

 ふざけた調子で男は言うと、言った通りに眼帯のところからビームが出てきた。

 腹部を貫通した。

 それが衝突した瞬間、強烈な痛みを感じる。

 そしてもう痛みは感じなくなっていた。

 俺の体が崩れ落ちる。


 俺は意識を失った。

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