32-Last-
静寂だった。
「え・・・・・・・」
頭を守るようにしたまま俺は前を見る。
2人は先ほどまで何だかんだ冷静そうだった割りに、伏せて防御の態勢を取っている。
「何が起きた・・・・・・!?」
俺達は全員で視線を今日元に向ける。
「・・・・・・な、何だ!?」
当の本人の今日元も驚いている、
見ると、銃器が何の作動もせず、煙を上げていた。
「・・・・・・どうなってる!?」
今日元が焦るように、銃器に駆け寄る。
すると
『――いyろあmcづsがうkhじゃ――』
雑音が入り始めた。
銃器本体ではなく、どうもこの家から聴こえてくるようだ。
『・・・・・・だー。繋がったか!?よっしゃ!』
今度は日本語だった――いやまて、これは――。
「お前誰だ!」
今日元はそう言って天井に向かって言う。
「一体何者だろうね」
隼人が言う。
「分からないのか?隼人」
「え?」
どうも本当に隼人は分かってないらしい。
「今日元。何しに来た」
口を開いたのは、東先輩だった。
「え・・・・・・今日元・・・・・・って」
『弟にも分かられないとは・・・・・・』
そう言って、呆れたように溜め息をした。
そう。
声の主は今日元さんだった。
「姉上・・・・・・!?」
『始・・・・・・余計な真似しやがって。お前の尻拭いにどうして俺が選ばれなきゃならないんだ』
「・・・・・・くっそ!!『トランスミッションを遮――」
『遅い』
言ったときには、天井が爆発した。
「な、何だ!?」
今日元が焦る。
「お前の能力は、考えたことが自動的に現象になる」
隼人が言う。
「つまり考えてしまえば、それを現象として認識すると同義ってことだ。そして『トランスミッション』
でそれを弄った」
「トランスミッション・・・・・・!?」
「もしかしてトランスミッションの能力を知らないのか?」
そう言って隼人が笑った。
『トランスミッションは波長を司る。そして人間は微量ながら電気を纏っている。静電気然りだ。そして俺は、その電波から手に入れた波長と自らの電波を合わせてそいつの中に入ることが出来るのさ』
「そんなこと・・・・・・聴いてない!俺が知っているのは、電気を帯びている機器に入り込めるということだけ・・・・・・」
『それも波長を合わせるに過ぎない。まぁ確かに、俺は普通は人の脳内に入り込むことは出来ない。けどな、悲しくも』
そう言って今日元さんは笑った。
『俺とお前は兄弟だぜ?』
「・・・・・・くっそ!!」
『そして俺は、お前の脳内に入り込んで、この家が爆発する事を想像した。それだけだ・・・・・・』
「・・・・・・未だだ!まだ終わっていない!」
そう言って今日元は構えた。
「『トランスミッションを拒絶する』想像!」
『残念だけど、もう遅いぜ』
今日元さんは笑う。
「な――」
今日元は俺達の方向を見た。
「「「遅いんだよ!」」」
俺達の3人分の拳がヒットした。
今日元の体が遠くに飛び、壁に激突して倒れ込んだ。