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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
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29-Write Right-


「東先輩強いねー」

「今日元さんによれば、東先輩は1人で10人くらいの武装チンピラを相手に出来るらしいぞ」

「おい、こら。今日元はそんなこと言ったのか?舐めんなよ、俺は1人で24人と1匹を相手にしたんだよ」

 1匹って何だ。


 東先輩には後で能力を説明したが「俺には分からない」と言い放つので、もう無視に近い方針を採った。それから更級を縛り、後からやってきた東先輩の部下の方に預けた。下に居る久留巳も同様だった。

「で、これからどうするんだ?」

「僕らが教えられた情報は嘘だったから、どうすることも出来ないよね」

 隼人はそう言って思考を始める。


「そういえば、どうして東先輩はココに?」

「昨日の夜から捜し続けてたんだ。俺達全員で。そしたら丁度さっき、急に現れた建物があると聞いてな。後は直感だ。ココだと思った、それだけだ」

「ああ。そうか、久留巳が気絶したから能力が消えてしまったわけだ」

 ていうことは警察が来るのも時間の問題だな。

「・・・・・・俺は良く分からないけどさ」

 隼人に向かって言う。

「アイツ・・・・・・更級がいきなり現れて小難しい事を言っていたのは、自分の存在を見てもらうためだったんじゃないかな?」

「・・・・・・」

「忘れられたり、気付かれなかったりって・・・・・・やっぱり傷つくんだよ」

「経験があるような物言いだね――あ、そうか。経験があるのか」

 隼人は言って、少し苦笑する。

「皆に見て欲しくて・・・・・・アイツは難しいことをわざと言っていた。そうだと俺は思う」

「例えそうであろうとなかろうと、僕には関係ないよ」

「冷たいな。冷血って言うより、冷酷だ」

「観測者は常に新たな気持ちでなくてはならない。彼に関する僕の調査は終わった。だから、もう考えない」

 そう言って隼人は顔を上げた。

「・・・・・・よし、行こう」

 隼人は言って、俺達が通った、カウンター裏の扉を進む。


「この廊下が坂道になっているけれど、エレベーターに乗らなければ、ちょっと傾いているだけの廊下だ。恐らく傾かせた事に意味があるはず・・・・・・」

 そう言って隼人はポケットをあさる。

「・・・・・・何やってんだ?」

「誰か、丸い物体持ってない?ボールとか」

「任せろ」

 そう言って東先輩は手のひらからタイヤを出した。そんなに大きくない。サイズも調整できるのだろうか。

「これでいいか?」

「ありがとうございます」

 隼人はそう言ってタイヤを廊下に静かに置いた。

 すると廊下を静かに転がっていく。

「行こう」

 隼人はタイヤについていく。


 タイヤは廊下の突き当たりで1度止まった。

「どうすんだ?」

「こうする」

 隼人は言ってから、タイヤの向きを修正した。

 前方に向かって進んでいたタイヤを横向きにする。

 すると今度はタイヤは右に向かって進んだ。

「こっちだね。僕が思うにこの坂道は、恐らく3階に行くためのルートを教えているのさ」

「教えているって?誰に・・・・・・?」

「僕たちに。この家はアイツが作ったんだから、僕たちのために内装を変えることくらい容易だろう」

 隼人はタイヤを追いかけながら言った。

 タイヤはその後、隼人の修正を借りながら俺達を導いていく。

 そして最終的に1つの扉の前で止まった。


「・・・・・・ここだな」

 東先輩がタイヤを戻す。

「じゃあ、行こうか。ラスボスを倒しに」

 隼人は言ってドアノブに手を掛けた。


  

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