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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
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28-Level Rival-


「東先輩!ソイツは――」

「言うな!ソウメイ君!」

 隼人はそう言って邪魔をする。

「知らないほうが今は勝てる!」

「・・・・・・そうか」

「はぁ?お前ら何言ってんだ?」

 東先輩はそう言って、首だけこちらに向けて怪訝そうな顔をする。

「気にすんな、東先輩は自分でやってくれ」

「お前タメか。殺すぞ、後で」

 東先輩は言いつつ正面を向いた。

「お前、俺の後輩達に何やってんだ」

「・・・・・・お前は東諒だな・・・・・・。ブラックリストが・・・・・・」

「ぶっ潰すぞ」

 東先輩は一歩ずつ歩いていく。俺達から見れば更級は現れたり消えたり忙しい。


「俺の能力を教えてやる」

 更級は咄嗟に言った。

「え、マジで?教えてくれるのか?」

「ダメだ!」

 隼人が言う。

「何だよ、どういうことだ?」

「いいから、気にしないでくれ!」

 隼人がそう言って焦りを見せる。



 その様子を見て、東先輩は言った。

「・・・・・・分かった」



 ・・・・・・あれ。

 待てよ。これ・・・・・・。





「分かっちゃったのか?」


 更級は笑った。


「何だ!?」

 東先輩が言った。


 やっぱりだ・・・・・・!

 『分かった』・・・・・・『知った』から、消えた!

 恐らく東先輩にはもうすでに更級の姿が見えてない!!

 

 東先輩の体がこちらに吹っ飛ぶ。

「が・・・・・・!?」

 宙を舞う。

「くっそ!」

 東先輩は空中で身を翻し、着地する。

「どうなってる!?どこ行きやがった!?」

 東先輩はそう言って周りを見渡す。


「教えてやろうか?」

 目の前に更級が現れた。

「俺の能力を・・・・・・」

「え、マジで!?教えてくれるのか!?」

 まずい。

 知ってしまえば、東先輩も俺達と同じになる。

 ――が。

 今ここで止めてそれを『分かって』しまえば、東先輩は更級の姿を見失う。

 それにもしも、止めたとしても更級が一方的に説明してしまえば、東先輩は聞いてしまう。

 結果、俺達は固まる。

 

「俺の能力は、自分が知らないことと出会ったときに俺と出会うことが出来る」

「・・・・・・」

「そして、何かを『知った』という感覚を得たら、俺の姿を見えなくなる。以上だ」

 そして俺の視線から更級は消えた。


「東先輩。何とかできるのか!」

「・・・・・・分からん」

「そんな・・・・・・」

 その瞬間、更級が現れて拳を固めていて、拳は既に東先輩の前に有った。


「東先輩!!」


 拳は。

 拳は空を切った。

「・・・・・・分からん」

 東先輩はもう一度そう言って顔面を掴んだ。


「え・・・・・・」

「何だ!?」

 俺と隼人は焦る――いや、1番焦っているのは更級だが。


「反応できた・・・・・・のか?」

「分からんな」

 東先輩は何度も言う。

「・・・・・・だが、俺は消える!」

 言った瞬間に俺と隼人の視界から更級は消えた。

 が。


 確かに東先輩は何も無い空間を掴んでいた。


「一発でいくぞ」

 東先輩は言って、拳を固めた。

「何故だ!」

 更級は姿を現す。

 恐らくもう消えない。



 俺達にも何がおきているのか分からないから。



「何故お前には俺が見えている!?」

「さっきから言ってるだろ?」

 そう言って東先輩は顔をしかめた。



「お前が何を言っているのか、お前らが何を理解しているのか・・・・・・俺には分からないんだ」

 つまるところ。


 バカだから。


 東先輩の拳はしっかりと更級の顔面を思い切り潰した。


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