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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
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26-Know No Now-


「どうなっているんだ?」

「居なくなってしまったね」

 そう言って隼人は、先ほどまで男が居た場所を散策する。

 俺はその間暇だったので、図書館のようになっている本を雑に取り出す。


「本は好きか?」

 男が横に立っていた。

「な――」

「本とは一般教養を超える何かを与えてくれる」

「お前、どこから!?」

「俺はどこにでも居る。が、どこにも居ない。その理解でいいぞ」

「くっそ!」

 俺はその男に向かって拳を振るう。

「先ほどから、貴様は俺のことを『男』と呼んでいる。言わなかったか?俺は更級だ」

「うるせぇ!」

「どうかしたのかい?」

 そう言って隼人は俺の後ろに現れた。

「隼人!更級が――」

「更級・・・・・・?どこに居るんだ」

 隼人はそう言って俺の方を見る。

「いや、ここに――」

「諦めろ」

 更級はそう言って、隼人の前に立つ。


「こいつにはもう俺は見えない。声も聞こえない。触れもしないし、触られたところで感覚も無い」

 更級はそう言った。

「何で・・・・・・!?」

「俺の能力は『愚者見聞アンノウン・スポット』。俺の能力はただ1つ」

 更級は隼人と肩を組む。


「『無知の知』を痛感した時、のみ俺と出会うことが出来る」

 無知の知。

 自分が何も知らないと痛感した時・・・・・・。

「もちろん、人間が全ての事を知れるはずがない。しかし、逆にこれは――」

 話の途中で更級は消えた。

「!?」

「おいおい、ソウメイ君?どうかしたのか?」

「更級が・・・・・・消えた・・・・・・」

「・・・・・・さっきからここには居ないよ」

 そう言って隼人は別の場所へと歩いていく。

 いや。

 そういうことじゃない。

 さっきまで居なくて、現れたと思ったらまた消えた・・・・・・。


「話の途中で見えなくなったのか?」 

 更級がまたも突然現れた。

「・・・・・・もう驚かない・・・・・・」

「そうか。まぁ、いい。この現象はさっきの話の続きだ」

 更級はそう言って説明を続ける。

「さっき言ったとおり、自分が『知らない事』知った時、俺の姿を見ることができる」

「だったな・・・・・・」

「しかし逆に自分が『何かを知った』という優越感を得た時、俺の姿を見えなくなる」

「な・・・・・・!?」

「気をつけろ。知った気になれば、俺が見えなくなる」

「・・・・・・」

 言われた途端、また消えた。

「が、すぐに現れるわけだ」

「驚くわ!」

「ギャグじゃないんだから、重く置こうぜ」

 更級は言う。

「さて・・・・・・こうしてお前は知ってしまったわけだ。そろそろ見えなくなるかもしれないが、気をつけろよ」

 更級はそう言って笑う。

「俺は見えずに戦うぜ」

 更級はそう言って消えた。

 そして、俺は何も無いところから殴られる。

「が・・・・・・」

 消えられると、触られた感覚も触った感覚も無い。

 だが、殴られたら痛い。

 痛み・・・・・・衝撃は通じるという事か・・・・・・!


 また見えない敵かよ・・・・・・!!

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