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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
59/81

25-Last Least-

「アンタ・・・・・・何でここにいるんだ!?」

「お前らがやってきたんだろ?俺はここに滞在して説教していただけだ。お前らが帰ってくるのを待ってな」

「・・・・・・隼人、コレは・・・・・・!?」

「アクターに・・・・・・こんな能力は無い」

「そんな・・・・・・」

「新型の可能性がある」

 つまり僕に対応策はわからないってことだ。


 そう言って隼人は表情を強張らせる。

「で・・・・・・どうするんだ?お前らは」

「・・・・・・」

「俺の説教でも聴いているか?それともこの現象の根拠を捜すか?一応言っておくと、俺は階段の場所を教えたが、3階にいく階段だとは一言も言ってないぞ。ここに戻ってくる階段だったかもしれない」

 そう言っている更級を見る。

 だが、俺でも分かる。


 それは無理だ。

 なぜなら俺達はこの2階から、扉を開けて廊下を進み左に曲がり3番目の扉を開けてクローゼットをずらし階段を昇った。

 つまり、それまでの経過で俺達は2階に居たのだ。

 だから3階に行き着くのが当然のはずだ。

 少なくとも2階に行き着くことはありえない。

 アクターで何か細工をしたということか・・・・・・。


「してない」

 隼人は言った。

「してないって・・・・・・?」

「分かった。ていうか、少しおかしいとは思っていたんだ」

「おかしいって・・・・・・・」

「彼は答えを教えてくれていたんだよ」

 そう言って男を指差す。

「彼の言っていた階段ってのは、この階に通じる階段だったのさ」

 隼人は、男の横を通り扉を開いた。

 長い長い廊下。

 先ほど見たのと同様だった。


「まず」

 隼人は、廊下を指差す。

「この廊下は緩やかな下り坂だ。しかも人が普通では気付けないほどに」

「・・・・・・そうなのか?」

「間違いないね。発想を逆転させれば」

「逆転・・・・・・?」

「ああ」

 そう言って隼人は笑う。


「どうして2階に到達してしまったのか、じゃない。2階に到達するにはどうすればいいのか、だ」

「それは・・・・・・」

「前提が崩れている、だろ?そうだ。僕は前提を変えたのさ」

 隼人は廊下を進む。

 どうでもいいけど男を放置しているのはいいだろうか?


「左に向かって曲がる」

「ここに細工は?」

「無い」

 そう言って隼人は3番目の扉を開く。

「ここに細工は?」

「無い」

「部屋には」

「ある」

「どんな?」

「気付きにくいよ。でも、ちょっと意識すれば気付く」

 そう言って隼人は扉を閉めた。


 ・・・・・・ん?

 体が少しずつ体が下がっていく。いや、上がってる?よく分からない、あの感覚。

 ・・・・・・分かった。


「エレベーター・・・・・・だよな?」

「よく分かったね」

 隼人はそう言ってクローゼットを持つ。

「エレベーターが止まるまでは、クローゼットは動かない。そして、到着すれば――」

 エレベーターが止まった感覚を得る。

 そしてその瞬間、静かな音でクローゼットはスライドした。

 何も力を加えなくとも動いたのだ。


「・・・・・・階段が急すぎたのもそういうことか」

「そういうことだね」

 俺達はそう言って階段を昇った。


 すると。


 そこに男は居なかった。

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