24-Turn Return-
題名のネタが尽きてきた。
これからは辞書を利用するだろう。
「人間とは常に不思議を纏っている」
「・・・・・・」
「すなわち人とは異常なはずだ」
「・・・・・・」
「例えば完全な人間が居たとすれば、それは不完全さという人間らしさがないということで異常だ」
「「・・・・・・」」
「普通すぎる人間が居たとしても同様のことが言える。何もかもが普通というのは普通じゃないという普通の考え方があるから、結果その人間は普通じゃないと言われるのだ」
「「あなたは誰ですか?」」
声を合わせて俺達は聞いた。
2階に上がって、扉を開けると男がいた。
部屋の内装はまるで図書館を思わすほど書物で囲まれており、違和感しか感じなかった。
いや。
それよりこの男の方が違和感がある。
その図書館のような部屋に図書館のようなカウンターを設け、そこに座っていたのだ。
そしていきなり俺達に言ったのだ。
「更級だ。王城と嘉島だな」
「・・・・・・」
「まぁ落ち着け。アイツに会いたいなら俺の後ろの扉を開けて、突き当りを左に曲がった後、数えて3番目の部屋の中のクローゼットを動かせ。そこに階段がある」
「ご親切にどうも」
「これは俺の親切心ではなく、アイツがそうしろと言ったからそうしたまでだ」
「アイツというのは?」
「今日元 始だ。姉のほうに『終り』と付け、弟のほうに『始め』とつける。皮肉なものだ。しかし、皮肉とはそれすなわち人が気付かなければ意味の無いことでありながら、例え自らそれに気付いたとしても笑い話にもなりはしない。つまりは皮肉など得する人間などいないわけであって、ならば言うほうが無駄だという結論に――」
「「感謝します」」
面倒クセェ!!
俺達はそう言ってカウンターを素通りした。
そして扉を開く。
不思議にも男は何も言わず――正確には話の続きをしているが――俺達を放置していた。
俺達は扉を開ける。
すると、目の前には長い1本道の廊下。突き当りで左右に道が分かれているのが見える。
「行こうか」
「ああ」
俺達は廊下を進み、突き当たりまで到着して左に曲がる。
そして言われたとおりに数えて3番目の扉を開いた。
すると誰かの部屋の一室のようになっていて、テレビやパソコン、その他色々置かれていた。
そしてクローゼットをずらす。
「あれ?」
「動かないな・・・・・・」
俺達2人で思い切り押しても動かない。
「どうなって――」
ドタ!と。
急に動いた。
しかもクローゼットは倒れることなく、ずれたように立っていた。
いや、それより
「本当に階段があった」
クローゼットの裏に階段があった。
「こんな簡単に進んで言いのかな?」
隼人は不思議そうな顔をする。
「まあ運が良かったということで」
俺はそう言って隼人より先にその階段を昇る。
思ったよりも急な階段で、少しきつい。
そしてようやくの思いでたどり着いた部屋で――。
「――結果的には人間とは普通ではないという議論に戻るのだ。どうだ?分かるか?王城、嘉島」
「・・・・・・は?」
その部屋は図書館のようで、図書館のようなカウンターがあって――そしてそこには男が座っていた。
そして同じように違和感を漂わせていた。