22-War Work-
「どういうつもりだ」
誰よりも早く口を開いたのは、隼人だった。
口調が少し荒れている。
怒っているのか、或いは相手より優位に立つための演技か・・・・・・。
どちらにせよ、俺は黙っている事にした。
「貴様らなら知っているだろう?今回の事件で死んでいった人間の特徴を」
「・・・・・・犯罪者」
「そうだ」
男はこちらに向かって歩いてくる。
「俺達は犯罪者を殺すために集まった組織だ」
「それはシンデレラを模倣しただけに過ぎない」
「ああ。俺はあいつらのやり方を推奨した・・・・・・が、あいつらとは訳が違う」
男は立ち止まり、ニヤリと笑う。
「俺達なら完全犯罪が可能だ。俺達は普通じゃないんだから・・・・・・」
「バカが」
そう言って、隼人は男を睨む。
「完全犯罪なんてこの世には存在しない。どんな物語でも小説でもマンガでも・・・・・・そして現実でも、絶対に存在できない理由がある」
「理由・・・・・・ねぇ・・・・・・。俺は昔同じ事を言っていた男を知っているぜ?」
「・・・・・・」
「確か、そいつも王城だったな・・・・・・」
そう言って男はニヤリと笑った。
「・・・・・・なぜなら」
そう言って隼人が口を出した。
「「どんな世界観においても、完全なんて存在しないから!」」
同時だった。
「今日元の人間だからか・・・・・・祖父の言葉だ」
「祖父?青年ぐらいの男だったがな。俺達を1度滅ぼした」
男はそう言って隼人を睨んだ。
「だが。まぁ、それはお前とは関係ない。単純にお前の力を必要としているんだ」
「・・・・・・つまり、僕に犯罪の協力をしろと?」
「世界平和のために協力しろって言っているんだ」
名目上は格好いい事を行っているかもしれない。
しかしだからといって人を殺していい理由にはならない。
とまぁ。
俺が言うまでも無いのだが。
「論外だ」
隼人は強い口調で言う。
「犯罪を世界平和の一環にしていることは、まぁどんな思想を持っていてもいいだろう」
「・・・・・・」
「だが、アクターが世界平和なんて出来るはずが無い」
隼人は強い視線を外さない。
「俺達はやって見せるぜ?犯罪者を殺してでも」
「そんな事させてたまるか。僕を舐めるなよ」
隼人はそう言って走り始めた。
「やはり、戦争開始か」
男はそう言って、膝も曲げずに浮かんだ。
しかも3階の高さまで。
「はぁ!?」
「俺の能力で作った靴だ。ちなみにこの家も俺が作ったから、破壊も出来ない。そしてあらゆる装備がついているから無理に来ようとせずに、ちゃんと俺達全員を潰しに来い」
男はそう言ってから家の天井に着地した。
「行くぞ、ソウメイ君」
ミスマッチな喋り方で隼人は進んでいく。
「うわ、キャラについて行けねー」
俺は笑った。
さて、最終戦争と行こうか。