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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
54/81

20-Smile Agile-

 笑顔 賢い


 っていう羅列です。


 意味を持たせてみた。

 聖域指定ゼロ・ジャミングとは、科学的に根拠を見出すとすれば、空間把握能力を司る器官をかき乱す事で違和感を感じさせる、ということらしい。


 どんな人間でも経験した事があると思う。

 階段を下る際にもう一段あると思って足を踏み出した瞬間や、逆にもう階段は無いと思って歩いた瞬間に、違和感を感じた事があるだろう。

 アレを瞬間的に起こすのが、聖域指定だ。

 脳や視線ではそこには壁は無いと判断しているが、実はそこには壁が・・・・・・あったのだ・・・・・


「君が謎の男を見つけた公園を君はしっかりと見たことがあるのか?」

 隼人はそう言った。

「無い・・・・・・」

「だろうね。だったらすぐにも違和感に気付いたはずだ」

 そう言って隼人と俺はその公園に立った。

 朝だというのにも拘らず、人っ子一人見当たらない。

 いや――。

 それよりもブランコだ。

「あれ・・・・・・?」

 ブランコが見当たらない。

「ブランコが無いんだが・・・・・・?」

「あるよ。あそこに」

 そう言って指差したのは、壁だった。

「は?」

「あの後ろにあるんだよ。この公園はちょっと特殊なのさ」

「・・・・・・って、待てよ!それじゃ俺が立っていたはずの場所の後ろには――」

「壁があったはずだよね」

 冷静に隼人は言った。


 俺がブランコのあるところに現れた瞬間、あの男が聖域指定を発動させて、壁を感じないようにした。

 アイツの前に立つまでは壁を見ていて、立った瞬間に能力を使われ、壁を忘れたという事か。

 そして俺を攻撃しながら壁を飛び越えた。そういえば1度、異常に高く飛んだ覚えがある。

 上手い事しやがる。俺が騙されるわけだ・・・・・・。


「でも、それって幻覚ってことなのか?」

「まぁそういう類になる。警察署であったのは、他人の意識をその部屋から反らしていたから。空間に関する幻覚だと思ってくれ」

 そう言って隼人は笑った。


「でも普通の人間には避けられないね。いくらそういう類に強くても」

「・・・・・・じゃあどうすれば?」

「その場所の構造を把握して場所を記憶する。それによって、明らかにおかしいものを削除していく。これが一番確実」

「そんなことが出来る奴はお前くらいだよ」

「いやいや、僕でも初めてきた場所では分からないよ」

 そう言って隼人は笑顔を浮かべる。

「あとは、脳を単純化させて、幻覚対する態勢をつける」

「バカになれって事だな?」

「何も考えるなって事だね」

 できるかそんな事。

 少なからず何か考えるだろう。

「まぁ・・・・・・。後はもうひとつあるよ」

「あるのか?」

「さて、じゃあ行こうか」

「・・・・・・」

 そう言って隼人は歩きだす。

 俺はソレを追っていく。

「どこに行くんだ?」

「犯人達のアジト」

 隼人は笑う。

「・・・・・・さっきから何で笑ってるんだ?」

「・・・・・・笑ってる?」

「笑ってるよ」

「ああ・・・・・・。無意識だね」

 さらに笑った。

 どういうつもりなのだろう。

「・・・・・・何なんだよ」

「何って・・・・・・」

 隼人はこちらを見ずに言った。


「アクターとの決戦だぜ?」


 顔は見えなかったけど、間違いなく笑っていた。

 運動神経が悪い割りに、好戦的な男だった。


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