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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
50/81

16-Pass Past-

 50話突破。


 後、20話くらいで終わると思うよ。

「俺が家を飛び出してから、ものの数ヶ月だ」


 今日元さんはそう言って続けた。


 その時は中学3年生で、丁度卒業式を終えて、中学生でも高校生でもない時期を見計らって家を飛び出した。出来るだけ計画してから行動していたつもりだ。生活用品を準備して、バイト先も見つけてから家をでていたからな。

 バイト先でとにかく自らの生活費だけ稼いで、路上で生活していた。家に関しては考えていなかったわけではないけど、足がつくようなことはしたくなかったから。


 しばらくして、俺は迷子になった。

 昔から方向音痴で、迷子になる事が多くてね。だが、俺は既に自らの才能を持っていたから、まぁ大体何とかなっていた。

 しかし、予想外な事が起きた。

 そこがチンピラの溜まり場だったことを俺は知らず、そのままそこをうろついていた。


 後はご想像通り、俺は奴らに捕まった。


 で乱暴されかけた。


 まぁおかされかけた、ということだな。


 そこに現れたのが、東だった。

 第一声は、大きな声で


「死ね、お前ら」

 だったよ。

 別に俺を助けに来たわけではなくて、他の女にも色々と手を出していた連中が、俺を連れて行っているのを見て、我慢できなかったらしい。

 東はその時点では、俺みたいな力は持っていなかった。

 けど、そのチンピラたちは東の相手にならなかったよ。


「お前も俺と同じなのか」

 東はそう言った。

「俺もつい最近出てきたばかりだ。今から俺は暴走族を作る」

「犯罪か・・・・・・」

「いや、俺は族は族でも義賊になる!」

 堂々と彼は言ったね。

 『ぞく』の字が違う事を知らなかったらしい。


 どうも義賊になるための第一歩だったらしいよ。つまり俺は踏み台に過ぎなかった、と・・・・・・。

 言いすぎ?

 ああ、そうだな。それは東に悪い。少なくとも俺は助けられたのだから。


 それをキッカケに俺は東に協力し始めた。同様に東もそれをキッカケとして、力を持ち始めた。

 それだけだった。


 それだけでは十分だったのさ。


 なのに・・・・・・。




「ああ、そうだ」

 そう言って今日元さんは話を打ち切った。

「俺が今回、路地に居たのは、呼び出されたんだ」

「呼び出された・・・・・・!?」

 つまり。

 つまりソイツが犯人の関係者だという事では・・・・・・!?

「呼び出したのは、俺の父だ」

「え・・・・・・!?」

「いくら反抗して出て行って気に入らなかったからといって、俺を犯罪者にしようとするか、普通?」

 分かっていたのか・・・・・・。

「俺の話を聴いてくれたお礼だ。本当は黙っていようと思ってたんだがな」

「・・・・・・どうしてですか・・・・・・?」

「こんなこと言ったら、お前らは犯人だけを倒しに行くだろうけど、東はそうは行かない。俺の家族も潰しにいく。まぁ別に俺の家族はどうなろうと関係ないんだけど、そんなことになれば、東は犯罪者だ」

 そう言って今日元さんは、天井を見た。


「これ以上東を関わらせる訳には行かない」

 東が俺に迷惑を掛けないように関わらないのと同じだ。

 と続けた。

 東先輩は恐らく気付いていないだろうが、今日元さんは知っていた。

 東先輩が今日元さんに迷惑を――心配をかけないように努力している事を。


「さて。後は探偵に任せるぜ」

 今日元さんはそう言って、手錠をパキッと破壊してから

「頑張れ~」

 と気の抜けた応援をして去って行った。


 どうでもいいけど、東先輩の心配はするけど、俺達の心配はしてくれないんだな。

 まぁいいや。

 俺もその後部屋を出て、廊下を歩く。

 特に異変も無い。

 安心安心。


 そして元の部屋に戻ると。



 その部屋だけが綺麗に爆発していた。



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