表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
49/81

15-Gray Great-

「いいだろう。お前らの事情は把握できたからな」

 龍兵衛さんはそう言って快く俺達全員を入れてくれた。

 それから奥の部屋へと招き、部屋の鍵を閉めた。それから俺達を座らせて

「現状を確認するぞ」

 と言った。

「あの女は濡れ衣を着せられている。そして、その犯人はこの街から逃げ出した・・・・・・。そうなれば俺達の管轄ではないが、その犯人達の模倣犯が存在し、未だにこの街に存在しているということだな」

「そういうことになります」

 隼人はそう言って、外を見る。

「ここももしかしたら、大変な事になってしまうかもしれないんですが・・・・・・」

「心配いらない。今回の事件に当って、警察のお偉いさんたちが来ている。恐らく模倣犯はお前らみたいなやつらなんだろう?」

 露骨な言い方を避けて龍兵衛さんは自分の推理を繰り広げた。

 つまり、警察のお偉いさんたちはアクターについて情報を知っている、ということだろう。だが、龍兵衛さんも立場上、露骨な言い回しは出来ないわけだ。どこで聞き耳を立てているか分からないから。


「ああ、そういえば」

 突然そう言って龍兵衛さんは東先輩を見た。

「東諒だったか?」

「そうだ」

「あの女と面談しなくていいのか?アイツを助けようとしたのはお前なんだろ?」

「今日元を俺と関わらせるわけには行かないんでな」

 東先輩はそれだけ言うと、それ以上話をさせないかのように腕を組んで俯く。

「・・・・・・よく分からんな」

「あの、代わりに面談に行ってきていいでしょうか?」

 俺はそう言って挙手をする。

「?いいけど・・・・・・」

 龍兵衛さんがそう言って不思議そうな顔をした。


 場所を思い浮かべながら歩く。

 やはり夜遅くなると一般人の姿は見られなかった。しかし、警察の人々は忙しなく動いているようだ。お疲れさまです。頑張ってください。


「確か・・・・・・あった」

 部屋に到着して、ノックもせずに俺は入り込む。

「嘉島か」

 今日元さんがそこに居た。

「ということは、東は面談を拒否したってことか」

「・・・・・・あの」

 俺は自らの疑問をぶつける。

「東先輩とはどういうご関係でしょうか?」

「・・・・・・うん。やっぱりその話題だよな」

 今日元さんはそう言って、天井を見る。

「東も俺も、隼人みたいな立場でね」

 そう言って俺を見た。

 隼人みたいな立場・・・・・・。

「御曹司・・・・・・と、お嬢様ですか」

「そういうこと。んで、俺はそのお嬢様なんていう言われ方が気に入らなかったから、自らを『俺』って呼ぶことに決めた」

「・・・・・・」

「それでも、向こうは俺をお嬢様だと呼ぶ。そして、その身分に縛られる」

「・・・・・・」

「で、挙句の果て逃げ出しちゃったのさ」

 そう言って今日元さんは笑う。

「・・・・・・それで・・・・・・」

「東が義賊として行動している原因は俺にある。アイツの義賊としての行動の1番最初が俺だったから」

 そう言って今日元さんは昔話を始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ