15-Gray Great-
「いいだろう。お前らの事情は把握できたからな」
龍兵衛さんはそう言って快く俺達全員を入れてくれた。
それから奥の部屋へと招き、部屋の鍵を閉めた。それから俺達を座らせて
「現状を確認するぞ」
と言った。
「あの女は濡れ衣を着せられている。そして、その犯人はこの街から逃げ出した・・・・・・。そうなれば俺達の管轄ではないが、その犯人達の模倣犯が存在し、未だにこの街に存在しているということだな」
「そういうことになります」
隼人はそう言って、外を見る。
「ここももしかしたら、大変な事になってしまうかもしれないんですが・・・・・・」
「心配いらない。今回の事件に当って、警察のお偉いさんたちが来ている。恐らく模倣犯はお前らみたいなやつらなんだろう?」
露骨な言い方を避けて龍兵衛さんは自分の推理を繰り広げた。
つまり、警察のお偉いさんたちはアクターについて情報を知っている、ということだろう。だが、龍兵衛さんも立場上、露骨な言い回しは出来ないわけだ。どこで聞き耳を立てているか分からないから。
「ああ、そういえば」
突然そう言って龍兵衛さんは東先輩を見た。
「東諒だったか?」
「そうだ」
「あの女と面談しなくていいのか?アイツを助けようとしたのはお前なんだろ?」
「今日元を俺と関わらせるわけには行かないんでな」
東先輩はそれだけ言うと、それ以上話をさせないかのように腕を組んで俯く。
「・・・・・・よく分からんな」
「あの、代わりに面談に行ってきていいでしょうか?」
俺はそう言って挙手をする。
「?いいけど・・・・・・」
龍兵衛さんがそう言って不思議そうな顔をした。
場所を思い浮かべながら歩く。
やはり夜遅くなると一般人の姿は見られなかった。しかし、警察の人々は忙しなく動いているようだ。お疲れさまです。頑張ってください。
「確か・・・・・・あった」
部屋に到着して、ノックもせずに俺は入り込む。
「嘉島か」
今日元さんがそこに居た。
「ということは、東は面談を拒否したってことか」
「・・・・・・あの」
俺は自らの疑問をぶつける。
「東先輩とはどういうご関係でしょうか?」
「・・・・・・うん。やっぱりその話題だよな」
今日元さんはそう言って、天井を見る。
「東も俺も、隼人みたいな立場でね」
そう言って俺を見た。
隼人みたいな立場・・・・・・。
「御曹司・・・・・・と、お嬢様ですか」
「そういうこと。んで、俺はそのお嬢様なんていう言われ方が気に入らなかったから、自らを『俺』って呼ぶことに決めた」
「・・・・・・」
「それでも、向こうは俺をお嬢様だと呼ぶ。そして、その身分に縛られる」
「・・・・・・」
「で、挙句の果て逃げ出しちゃったのさ」
そう言って今日元さんは笑う。
「・・・・・・それで・・・・・・」
「東が義賊として行動している原因は俺にある。アイツの義賊としての行動の1番最初が俺だったから」
そう言って今日元さんは昔話を始めた。