12-Acter After-
「うわ!」
俺の反応速度を上回る速度で、如月はナイフを突きつけてきた。
「避けるなぁ・・・・・・」
「こっちも死にたくないんだよ!」
俺は叫んだ。
「僕のナイフを避けたのはこの世で・・・・・・・・・・・・うん、まぁ数多く居るよ」
「何だよ!じゃあ言うな――」
ナイフが更に俺を狙ってくる。今度はどうやら、首を狙って斜めに切りかかってきているようだ。
「人の発言は最後まで聞け!」
「僕はそんなことには興味は無い。君の力に興味があるんだ」
如月はそう言って、笑った。
「何なんだよ!」
いい加減避けるだけでは何とかならないと思い、俺も武器を調達する事にした。
「作るから待ってろ!」
俺はそう叫んで、ブロック塀を左手で叩く。
ブロック塀の一部が形を変え、ナイフと同型の形をする。
「こっちは本物。そっちは石だぜ?」
「だからなんだ。量産型だぜ。しかも大きさだって変えれる」
「ああそうですか」
如月は躊躇なく、ナイフを投げた。
「はぁ!?」
唯一の武器を投げるなんて・・・・・・どうかしてる!!
それでも俺は思わず避けるしかなかった。
「だろうな」
そのとき如月は既に目の前に居て、拳は俺の目前まで迫っていた。
「やば――」
俺はその状況から、上半身だけ倒して拳を避ける。
あ。しまった。
「隙だらけだ」
如月はそう言ってその状態から俺の体を蹴り飛ばした。
俺の体はボールのように1回跳ねてから地面に倒れこむ。
「強ェ・・・・・・!!」
コイツただの人間だ・・・・・・よな?
「お前・・・・・・アクターなのか?」
「アクター?英語の授業の話か?悪いけど、僕は高校は通ってないんでね」
冗談を言っているような風潮ではなく、恐らくマジだ。
てことは違うのか・・・・・・?
「ああ、もしかして先の妙な能力が、そのアクターって奴だな?」
「・・・・・・心当たりは?」
「あるぜ」
如月はそう言ってナイフを持った。先ほど投げたナイフだ。
「殺すことだ」
如月はそう言った。
発言の真意は分からないし、殺人鬼なのだからそのくらいは当然だろうと・・・・・・。
だがしかし。
明らかな殺意。そして俺自身の感覚。
それらから分かる。
「これは・・・・・・アクターじゃない」
純粋な殺意。作り物じゃない殺意。
殺すことだけなら何にでも長けている。
そんな殺意。
何なんだ・・・・・・コイツは!!
「何だよ、なんかやる気なくしたのか?」
如月はそう言ってナイフをギラつかせる。
「・・・・・・お前が犯人なんだよな?」
「そうだ」
「じゃあ、お前を殴って捕まえてそれで俺の依頼終了だ」
先手必勝だ。
俺は如月より早く動く。
如月も俺の動きをみて動き始めた。
ナイフ同士が衝突した。