11-Exerent Experience-
「では、今日元さん」
隼人は特に気にした様子もなくそう言って話を始めた。
「いくつか質問しても?」
「いいぜ。好きにしな。答えられる事には答えてやる」
今日元さんはそう言って笑う。
そして、笑ったのも久しぶりだな、と言った。
その発言も気にせずに隼人は、
「では遠慮なく」
とだけ言って、話を始めた。
「じゃあ取り敢えず、自己紹介がてらに僕らのことを紹介しつつ、貴方のことも聞いて行きたいと思います」
「そう。好きにどうぞ」
「僕は王城隼人」
「王城って言うと、あの王城の関係者か?」
「その王城の御曹司です」
「ああ、そう。あ、ゴメン、続けてくれ」
「そして彼が――」
「嘉島奏明です」
俺は隼人が紹介する前に自らの紹介を始めた。
「そして、俺は残留思念です」
「僕は超脳力です」
「へぇ・・・・・・依存者か」
今日元さんはそう言って笑った。
依存者・・・・・・?
「アクターの別名の事だよ」
隼人が言うと、
「ああ、お前らはそっちで呼ぶのか」
と今日元さんは、意味深に言って笑った。
「やっぱりご存知なんですね?」
「ああ。俺は中でも、よく知っている方だ」
「貴方の力は・・・・・・?」
「『トランスミッション』。お前らで言う別名なら『電波変換』だ」
「・・・・・・隼人」
俺は隼人に語りかけた。
「何か?」
「俺が知っているゲームに同じような言い回しのを聴いた事がある。気のせいだろうか」
「それは木の精」
「森の精」
駄洒落であわせて、俺達はコレに関しては話を避ける事にした。
「じゃあ、質問を続けますね。どうして貴方は今捕まってるんでしょうか?」
「それだよ。聴いてくれよ、おい」
「聞いてますよ」
「俺、超絶方向音痴なんだよ」
・・・・・・。
・・・・・・ん?
・・・・・・。
「えっと・・・・・・?」
隼人も同じ疑問だったようだ。
つまり言いたいのは、『だから?』だ。
「俺が家に帰ろうかなって思ってた瞬間に、自分の居る場所が分からなくなっちゃって、そんでうろちょろしてたら、路地裏に居た。そしたら急に気絶しちゃって」
アッハッハッハッハッハ。
と快活に笑った。
「・・・・・・あの、どうしてアクターの能力を使わなかったんですか?」
「知らん。よく分からんが瞬間的に気絶させられたから。そしたら警察が来てそれで、怪しい奴だっていわれて捕まっちゃったんだよなー。それはもう流れ作業のように」
この人はどこまで本気で言っているんだろう。
「あ、でも、俺のことは放っておいてくれていいぜ。俺もそこまで追及したいわけじゃないし。それに俺の能力を使えば、警察署に居ても飽きないからな」
今日元さんはそう言った。
「だから、怪我はすんなよ」
「・・・・・・しかし――――」
隼人が口を開いた時、同時に扉が開いた。
「面会終了だ。残念だがな」
そう言って龍兵衛さんが現れた。
「ったく・・・・・・警察官ってのも楽じゃないぜ。上に振り回されまくりだからな。何かあったらすぐ連絡しろよ」
龍兵衛さんは少しやつれた様子でそう言って、俺達を送り出してくれた。
「帰るか・・・・・・」
「ゴメン。僕は少し、町のほうで用事がある」
「そうか。じゃ、また後で」
俺は先に帰る事にして、鍵を預かった。
夜ともなるとネオン街は若干、騒ぎ方が荒くなる。
が、俺達の家の住宅街はどちらかというと田舎なので、そんなに気にする事も無い。
そして田舎道を歩き、住宅街に着いた。ここから、数メートルで俺達の家だ。
「なぁ」
突然、隣の路地から声を掛けられる。
「お前、何者だ」
ソイツはそう言って俺を見た。
「・・・・・・アンタ!!」
この間屋上に現れた男だった。
「アンタ・・・・・・殺人鬼だろ?」
俺は冷静さを取り戻しつつ尋ねた。
「そうだ。お前は何だ?よく分からないが、強い気配がする」
「・・・・・・」
「殺しはしないけど・・・・・・、反抗勢力だよな?」
そう言ったときには俺の体にナイフを突きつけようとしていた。
「うぉわ!!」
な、何してくれてんだコイツ!
「お前・・・・・・!?」
「避けれたか・・・・・・。益々面白い、僕にとっては」
「何なんだよ、お前!」
「僕は如月。犯罪者抹殺計画を実行している殺人鬼だよ」
少年はそういう。
「勝手にやってるからばれるとアイツに怒られるんだけど、まぁ気にしない方針で行く」
さぁ、自己紹介はこのくらいでいいか?
如月はそう言った。
・・・・・・。
うん、そういうこと。
まさかのコラボ。