08-Kill Skill-
題名は、殺す能力ですが。
意味が分かるのは、極少数でしょう。
僕の思いが通じるのか!!
家について、俺はキッチンに立った。そして夕食を作り始めた。
「これで、東先輩達は守られたんだろうか」
俺はそう言って、東先輩達が居る建物の方向を見やる。
「さぁ・・・・・・。必ずしも大丈夫とは限らない・・・・・・。もしかしたら、僕らの行動の意味がばれているかもしれない」
「ていうか、わざわざ殴った意味はあったのか?」
「そう。そこがポイントだ」
隼人はそう言って、食卓テーブルの自分の席に座った。
俺はそこにハンバーグプレートを置いた。
そして、自分も着席して、
「どういうことだ?」
と尋ねた。
「あれによって、実は僕らの命も永らえているんだよ」
「・・・・・・?」
「ああやって殴れば、僕たちは東先輩に頼まれて行動をして、挙句、仲間割れしたようにも見える」
「・・・・・・待てよ!それじゃあ――」
「そう。危険が及ぶのは東先輩の方になるだろう」
隼人は冷静にそう言って、ハンバーグを口に入れた。
「・・・・・・その言い方じゃ、策がありそうだな」
「そう。奴らから見れば、『僕ら』と『義賊』のどちらが敵なのか分かりにくくなっている。この錯乱状態なら、今日の内はまだ行動できないはずだ」
「けど、行動してくるかもしれないぜ?」
「だから、東先輩には警戒するように伝えた」
「どうやって?」
「僕らがつまみ出される時に、子分さんの1人にメモを握らせておいたのさ。念のために作っておいたメモを、ね」
そう言って隼人はニヤリと笑った。
・・・・・・相変わらず、やることなすこと先読みだなぁ、コイツは。
「それで?これからどうするつもりなんだよ」
「さっきも言ったとおり、恐らく奴らは今日は攻撃してこれないはずだから、僕らが明日、朝一で仕掛ける」
「・・・・・・なるほど。そうすれば、向こうの狙いは俺らだけに定まるわけだ」
「そーいうこと」
そして隼人は、どんどん食べ物を口に入れていく。
「ところで、犯人が殺した奴らが一体どんな奴だったのかについて調べてみた」
「ほぉ。で?どうだった?」
「全員犯罪者だ」
「・・・・・・え」
どういうことだ?
犯人は快楽のために殺していたんじゃ・・・・・・。
「もちろんそれだけじゃなかった。だけど犯罪者が多数を占めていたね。ああ、でも濡れ衣を着せられた人の時は犯罪者じゃなかったらしい」
「なるほど・・・・・・」
納得した瞬間だった。
何故か、思い出した。
この間出会った少年・・・・・・。
あの少年が・・・・・・もしかしたら・・・・・・。
突然そう思ったが隼人には言わなかった。
理由は分からない。