04-エンカウント-
ドラクエとかやってたら、面白いよ。
エンカウントォォォォォ!!って叫ぶ、今日この頃。
家に帰ってから、俺はベッドに横になった。
「・・・・・・」
今日は本当に、何て日なんだろう。
「あ、アクター?」
「俳優って意味。自分を演じているってことさ」
「演じる・・・・・・」
それは――。
それは俺がしていることだ。
「さっきもいっただろう?僕らは人を助ける『権利』が無いって。そりゃあそうさ。真面目に生きている人間に『演じている』僕らが何をしてあげるのさ。僕らは誰かを助けられない。助けているなんて思っちゃならない。そして助けられる事も無い。だって、僕らは助かるためにこうなったんだから、誰かを頼るなんて最低さ」
「・・・・・・お前は・・・・・・これの何を知っているんだ」
「僕は何も知らない。でも、何でも知っている」
「何言って――」
「僕は僕が知らない事を知っているんだよ。無知の知って奴だ。そして、僕の力ならばそれを追求できる。それが今の僕をつくっているのさ」
王城はそう言って笑うと、
「じゃ、今日はこれでいいや。また明日ね」
と言って病室の扉に手を掛けた。
「おい、お前――」
「お前じゃない。隼人だ。王城隼人」
さらにそう言ってから病室を後にした。
「な・・・・・・何なんだ・・・・・・!?」
俺の周りで一体何が始まろうとしているんだ・・・・・・。
俺はいつの間にか、入ってはいけない渦に巻き込まれているんじゃないのか。
と。
思ってから響を見る。
「・・・・・・」
不安定な心で何かを理解できるはずも無いので。
俺はそのまま響には触れずに、病室を出た。
電車に乗らずに歩いて帰ることにした。街中は今は8時くらいだが、まだ日が少しだけ残っているので、そんなに暗いとは感じない。
「・・・・・・」
アクター。演じる。もう1人の俺。リメンバー・リメイン・・・・・・。
ダメだ・・・・・・。ただでさえ、いつも混沌としている情報が脳内を蔓延っているというのに、新たな情報を詰め込まれても理解できるわけが無い。さらに心も不安定なのだから・・・・・・。
ドン、と。
「・・・・・・」
俺はしりもちをついた。
どうも男子高校生とぶつかったらしい。
「・・・・・・前見て歩け、ボケ」
周りに2人ほどの連れも居る。
「・・・・・・」
俺は黙って立ち上がる。
そしてそのまま通り過ぎようとする。
が。
「おい、てめぇ謝れよ!」
「すみません」
「で、済むと思ってんのか!!」
街中である事にも躊躇することなく、その男子高校生は俺の頬に向かって拳を突き出す。
あ、そう。
俺は自分の皮膚を左手で触れて、厚くする。
そして拳を受けて、わざとらしく吹っ飛んだ。
こういうときは被害者を演じるが吉だ。
周りの人の視線で、俺がかかわってないことは明らかになるはず――。
「てめぇら何してんだぁ!!」
謎のリーゼントが急に突入してきて、高校生を一気に倒す。
「げぇ!暴走族!?」
「やべえ、逃げろ!」
高校生はそう言って叫んで逃げていく。
「おい、大丈夫かよ後輩」
「え・・・・・・」
「お前、榛2だろ?今、1学期が終わっている中学はそんくらいだからな」
「はい・・・・・・」
「立てるか?」
「大丈夫です」
俺はそう言って立ち上がった。
「さて、警察が来る前に帰るぜ、俺は」
「は・・・・・・はぁ」
「じゃ、また会うかもな。後輩」
そう言うと、靴にエンジンでもついているのではないかという速度で走っていった。
俺も警察官に何か聞かれるのは避けたかったので、出来るだけ早めに消え去る事にした。
そして、走って家に帰って、ベッドに寝たと。
「今日は人によく会う・・・・・・」
美人の中学生に会ったり、何か言い出す同級生に会ったり、高校生に殴られそうになったり、謎のリーゼントに出会ったり・・・・・・。
意味の分からない1日だったと感じてから目を瞑った。