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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
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05-Short Shoot-

 次の日だった。

 俺達は先生へ、それぞれそれなりの理由をつけて、今回の補習を休ませてもらう手続きを済ませた。教師側には未だ俺達の噂は入っていなかったようで、特に怪しまれることも無かった。

 そして、今、僕らは殺人現場を回っていた。



「依頼内容はよぉ!」

 夜なのに叫び声から変わらない東先輩(呼称決定)はそう言って、玄関で話を続けようとする。

「分かりましたから、叫ばないで下さい!」

 隼人はそう言って、叫び返す。

「お、おう。分かった。じゃあ、中入れてくれるか?」

「分かりました・・・・・・けど、貴方1人でお願いします」

「おうよ」

 そう言って東先輩は、外の皆の方を見た。

「てめぇら!今日は解散だ!さっさと帰れ!」

「「「了解っす!!」」」

 全員そう叫んで、エンジン音を激しく鳴らしながら、エンジン音に負けないくらいの叫び声で

「うぉぉぉぉおおおおおおおお!!」

 と去っていった。

 ・・・・・・。

 嵐のように現れて、しかも元凶が滞在している・・・・・・。

 何なんだ、この状況は・・・・・・。

「では、中へ」

 そう言って隼人は東先輩を促す。


「さて・・・・・・」

 隼人は紅茶のティーカップを3つ机の上に置き、ソファに座った。もう1つの方に東先輩が座ったので、俺は隼人の横に立った。こうすると、なんとなく助手というか執事っぽい。

「依頼とは何でしょうか?」

「お前、アレだろ?よく分からんの専門の探偵なんだって?」

 『よく分からんの』・・・・・・?

 それは・・・・・・もしかして・・・・・・。

「・・・・・・どこでそれを・・・・・・」

「おいおい、俺達を舐めんなよ。俺は義賊やってるような奴だぜ?情報網がそれだけあるってことだぜ?」

「・・・・・・で、用件は?」

 隼人は先程より俄然興味が沸いてきたのか、身を乗り出す。

「最近逮捕された、例の殺人鬼を救って欲しい」

「はぁ!?」

 思わず叫んでしまった。

「いいから、慌てんなよ、後輩」

 東先輩はそう言って、俺をなだめる。

「あの事件は、犯人は別にいる」

「何で、そう思うんですか?」

「その殺人鬼として捕まった奴が俺の友達なんだよ。で、ソイツは、普通、捕まらない」

 意味は分かるよな?

 と、東先輩は続けた。

 ・・・・・・ということはそのお仲間さんはアクター・・・・・・。

「・・・・・・なるほど」

「俺は脱獄の手伝いをしろって言ってんじゃないんだ。真犯人を捜してほしい」

 そう言って、東先輩は頭を下げた。

「俺には出来ない・・・・・・。俺の『力』じゃ無理なんだ・・・・・・」




「しかし・・・・・・本当に犯人は別に居たのか・・・・・・」

「まあ、推理によればそういうことになるよね」

「そういえば、あの夜言おうとしたことって何なんだ?」

 確か、途中で東先輩が入ってきたはず。

「ああ。それは犯人の捕まった場所だ」

「捕まった場所?」

「犯人が捕まった場所は、路地裏だ。しかも気絶していた」

「気絶・・・・・・!?」

「もうこれは絶対に、誰かが犯人に仕立て上げようとしたとしか考えられない・・・・・・のに、捕まった女性は何一つ口を開いていないらしい。おかしいだろ?」

「だな・・・・・・」

「ま、その辺はアクターだって分かったから、それで解決だろ」

 隼人はそう言って地図を見る。


「それにしても、急にアクター絡みが多くなったな・・・・・・」

「僕の場合は昔から関わっていたから、そんなに印象深くないけど、確かに向こうからやってくるパターンは初めてだ。もしかしたら、君にひきつける力があるのかもしれないね」

 そう言って隼人は不敵に笑った。

 おいおい・・・・・・冗談じゃねーぞ。無理やりそんなことこじ付けすんなよ・・・・・・。

「巻き込んでいるのは君じゃないか?」

「いくらなんでもそれは――」

 チュン!

 という、静かな鋭い音で地面がはじけた。

 事件現場を歩いていただけだぜ・・・・・・?

 でも、この音・・・・・・。

「サイレンサー・・・・・・!?」

 チュン!

「逃げろ!」

 隼人が叫ぶと、

 ズガン!チュン!

 と銃声が増えた。


 結局、こんな風になるのかよ・・・・・・。

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