03-Lazy Crazy-
昼休み。
俺は先ほどと同様で屋上へ上がる。しかし、今回は隼人つき。
そして、『W』のまま俺が放置していたであろう、その扉を開けた。
やはり誰も居らず、俺が放置した状態だったようだ。そこには、先ほどの少年の置き土産と思われるナイフと彼の軌跡を示すかのごとく、血痕が置かれていた。
奴はなんだったんだろう・・・・・・。いや、今はどうでもいい。
「昼飯を食おう」
隼人は相変わらずのテンションだが、俺はまず問題を突きつける。
「おい、こら。俺のキャラを前に言わなかったか?」
「ああ、あれだろ?」
そういいながら隼人は弁当を出した。
「『俺はいつも宿題だけは真面目にやる、学校では孤立こそしていないが少し忌み嫌われる習性がある、成績は上の中くらいの中学生だ』だっけ?後、女子にもてる」
「まぁ、備考は置いておいて、大体そうだ。そんな俺がお前と関わっているとどうなると思う?」
「・・・・・・さぁ?」
「俺は、『あの王城隼人と関わっている、謎の少年』というイメージがつくようになる。だから、例えば、お前を好きな女子がお前に告白するとき、俺はその媒介としてしようされるのさ」
「なるほど、かわいそうに」
言って、隼人は一つ目のサンドイッチを頬張る。
「でも、僕は君を守る契約をしている」
「・・・・・・は?」
「君のキャラを守るより、君が孤立しないようにする事こそが大切だと思った。だから、君の言い方を借りるなら、僕は君が孤立しないための媒介になるのさ」
「そう・・・・・・か」
「勝手なことをして悪いとは思うけど、それでも僕は止めないから」
そう言って、隼人は『昼飯、食べようよ』と、サンドイッチの入ったバスケットを僕に突き出した。
僕らはそこで、新たな平和を手に入れた気がした。
当然、そんな簡単に終わるわけも無く、その後はクラスの男女に色々問い詰められた(しかも何故か俺だけ)。適当にそれら全てを捌いて、学校が終わって逃げるように家に帰った。
「はぁ・・・・・・。疲れた・・・・・・」
思い切り溜め息をつき、ソファに伏せた。
「お疲れー」
「お前の気の抜けた声を聞くたびに、俺はお前の殺し方を学びたくなってくる」
「物騒な事は言わないでくれたまえ」
隼人はそう言って、俺の脅迫を受け流すと、着替えを始めた。
「犬猫捜しか?」
「うん。下準備は出来たから、今から出来る事を1つずつ潰していこうと思う」
「俺も手伝うよ」
「助かるよ。助けてもらっているわけじゃないけど」
「へいへい」
とまぁ。
言うほど、何か事件が起きたわけでもないし、平和といえば平和だった。殺人鬼も捕まって、治安もようやく守られてきたのだろう。殺人鬼が横行している当時の方が良かったかもしれないけれど。
ともかく、平和だからそれでいい。
このまま今日が終わりますように。
俺の平和終了まで後、6時間。