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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
36/81

02-Sky Lie-

 ・・・・・・。


 こんな物語の予定じゃなかった。

 気分で書いているからかな?

 次の日。

 昨日隼人と話したとおりに、俺は学校へ向かった。

 だがしかし、俺のキャラというものがあるので、俺は隼人より早く起きて、一緒に行くことはせず、学校に向かった。

 日差しは良好。先ほどまで雨が降っていたらしいが、今は既に晴れ、水溜りもそこまで気にならないくらいになっている。しかし、夏の日差しによって気化されたその水分のおかげで、蒸し暑くなってきている。8月の気温の高さを身にしみて感じる。

 (隼人の)家から学校まではそんなに時間は掛からないが、なんとなく走って学校に向かった。

 学校についてからは、取り敢えずさっさと荷物を机の上において、開放されていない学校の屋上の扉へ向かう。

 扉のドアノブには『R』と書かれたプレートが掛けられていた。『R』は『Rest』の略で、『使用していません』という意味。俺はその扉を開けて、プレートをひっくり返した。プレートは『W』で『Work』の略で『使用中』という意味だ。基本的に、プレートが『W』の時は、招待客以外は屋上を使用してはいけない。

 俺がココに来てすることは基本的に、空を見上げる事だ。

 何故だろうか。ココに来ると、気分がどうしても空へ向く。学校という空間に置いて、屋上以外に空を見上げられなくなってしまうからだろうか。

 さてと・・・・・・。どうも俺は自分騙りのようなのは苦手なようだ。だから、俺は飽くまでも語り部なのだと思う。

「・・・・・・」

 夏休みに入ってから、色々な事に巻き込まれているような気がする。描写はしなかったが、いろいろなことを手伝わされていたりする。

 猫探しから落し物探し。おとり捜査や尾行までいろいろ・・・・・・。

 それもこれも隼人の所為ではあるのだが、それでもいい経験だったりもする。

 何より、王城グループの御曹司が土に汚れながら、必死に誰かのために頑張っている姿を見ると、ああ、コイツは気取っていない奴なんだな、と考えたりする。

 隼人という人間を俺は恐らく誰よりも知っている。以前は同じクラスであるということも知らなかったくらいだが、今では誰も知らない隼人の姿を俺は知っているわけだ。

 そこで。

 コンコン、と。

 扉を叩く音がした。

 来訪者あり・・・・・・か?だが、俺も今すぐ出て行けばいいだけの話。

 そう思って扉を開けてから、見た。

「・・・・・・!?」

 何だ・・・・・・コイツ・・・・・・!?右手にナイフを持ち、血が滴っている。体中に怪我をしているが、昨日今日でついた傷ではない・・・・・・。

 違和感がする。

「お前、誰?」

 少年はそう言った。

 無関心そうだった。

「・・・・・・嘉島」

「あっそ。お邪魔します」

 そのまま通り過ぎていった。

 そして俺と同じスタイルで空を見上げる。

 恐らく同い年だが、見覚えが無い。俺の記憶に無いだけかもしれないけれど、いくら何でもこんな強烈なキャラクターは忘れない。

 不審者か・・・・・・?

 だとすれば本来先生に連絡しないといけないけれど・・・・・・。

 それでも、まぁいいや、と深く追求はしなかった。



 それからクラスに戻り、椅子に座り、時が過ぎ去るのを待つ。

 ああ、今日も俺の日々は守られているのならばそれでいい――――。

「ソウメイ君」

 俺の平和を脅かす。

 その正体は果たして・・・・・・いや、分かってるけど。

 俺はその男の姿を見上げた。

「・・・・・・」

「忘れ物してたよ。しっかりしたまえ」

 全く・・・・・・。

 教室に揃っていた大半の生徒が、俺と隼人の異色を見る。

 俺のキャラが崩れていく。

 ああ・・・・・・。

 

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