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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第二章 突然が当然のこの世界
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01-Detective Deep-

 次の日、8月1日。

 その日から補習が始まる予定だった――のだが。


 この間言っていた、連続殺人犯が横行しているというのは、案外危険なものだったらしく、家の外は危ないという判断で、学校に行く事はなかった。

「宿題も無事終了してやる事も無いってかんじかな?」

 その日、俺は隼人の家に居た。

 家族には、隼人の家に夏休み中は合宿すると伝えておいた。すると、「おう、一生いっとけ」と響也に言われてしまった。悲しいかな、んなことないかな。


 そんなこんなで隼人と過ごしていた。

「まあ、僕はアクターしか関わらない事件を担当しているわけじゃない。一般的な事件だって、探偵業の1つさ」

「一般的な事件?」

「猫探しとか、落し物とか・・・・・・。浮気調査は無理だけど、身辺調査はするよ」

「はー・・・・・・。道理で、お金にも困ってないわけだ」

「大抵、デスクワークだけ済ませて、一気に片付けていくんだけどね」

 そう言って隼人は相変わらずの様子でパソコンを操作している。

 猫の生息しやすい場所や依頼者の情報から落し物の落ちている場所として可能性の高い場所を記述した地図(この間、探偵マップと言っていた。正直、センス無いと思う)を作っているようだ。


「忙しそうだな」

「まぁ、仕事だからね」

 そう言って隼人は笑いながらも作業の手を緩めない。

 隼人は脳が幾つもあるのではないかと思う。それこそ、聖徳太子のように、書物を読みながらも俺と会話して、且つテレビの内容を記憶しているのだから、情報処理能力に長けているだろうということを痛感している。

 コイツを観察していると面白い。


 隼人の観察情報①

 案外、不器用。

 料理を作るのはへたくそで、紙を切る作業や貼る作業も苦手。

 隼人の観察情報②

 世間を知らない。

 この間、テレビを見て、

「かき氷ってのは、最近のトレンドかい?」

 と言っていた。

 てか知らずに探偵とか名乗れるのか?

 隼人の観察情報③

 病院に誰かのお見舞いに行っている。

 訊いても、はぐらかされるので、名前しか知らない。確か響花だ。


 こういう奴なのだ。

 正直、変だと思うけど、俺もそう変わったものでもない気がしたので言わないでおこう。

 しかし暇だ。

 隼人がこういう状況では、暇で仕方がない。

 ので、テレビを点けた。


『速報です。この地域で横行していた無差別殺傷事件の犯人が捕まりました』

「ってさ」

「そうかい、じゃあ明日から学校だね」

 ふーん、そんなもんなのか。探偵っていうから、大きな事件に興味があるのかと思ったのに。

 隼人にそう告げると、

「事件の大きさは関係ない。関係あるのは、僕が頼まれた仕事、もしくはアクターが関わる何か・・・・・・それだけだ」

 と冷静に答えた。

 まあ、自分が関わっていない以上、そこまで興味もないよな。

 学校の先生の親が死んだところでどうでもよかったりする感じだ。

 今回は飽く迄、第三者でいよう。





 そう思っていたのに、俺は、第三者は第三者でも、かなり深いところに立たされることになるのだった。

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