30-夢現-
現実とは夢なのだ。
だから夢も現実も『夢現』大なのさ。
「それはそうと」
もう一度歩き始めて、隼人はそう言って話を始めた。
「君に話したいことがある」
「何だ?」
「夢の話さ」
隼人は言って、後ろの俺を振り向く。
「夢・・・・・・?」
俺が呟くように隼人に尋ねる。
「まぁ、歩きながら話そうよ」
そう言ったので、俺は隼人の横に並んだ。
「どういうことだ?夢って・・・・・・」
「君に言われてから、自分の将来について考えてみた」
「・・・・・・あぁ、昼の話か?」
そう言えば、えらそうに説教した覚えがある。
「で?どんな夢だ?」
「王城を超える『何か』になる」
「・・・・・・大雑把だな・・・・・・」
「仕方が無い。夢なんて考える事事態始めてなんだ。何分昔から、王城グループのことばかり学ばされてきたから、要領が分からない」
隼人はそう言って肩をすくめた。
「・・・・・・『何か』か」
そもそも王城を超えようと思うことが、王城グループにいる隼人にはどれだけ難しいことかを分かっていないのかもしれない。
まあ、子どもの頃は大きな夢を持っていた。僕なんて、確かウルトラマンだったような気がする。仮面ライダーだったかな?どっちでもいいか。
夢なんて、大きく持つべきなのかもしれない。
「君には夢は無いのかい?」
「そりゃあるだろ」
無いわけが無い。
「何?」
「教えないって。俺がお前に関して知りたい事を教えてくれたら考える」
「それは困った。君は国家機密に触れることとなり、狙われることになるだろう」
「な・・・・・・!?」
何!?王城に触れるとは、国家機密に触れることと同義!?否、そうだ。王城グループは国のトップで、世界でもトップクラスの企業・・・・・・音楽、自動車、工場、住宅など、何にでも関わっているような企業だ。ともすれば、それは不思議ではない――。
「ゴメン。嘘」
一蹴だった。
「でも、僕の何を知りたいんだ?」
「何よりもまず・・・・・・っていうか、たった1つだけ訊きたい事がある」
「何?」
「お前はどうしてアクターについて知っている?」
隼人の動きが止まった。
「・・・・・・やっぱその話か・・・・・・」
「うん?」
「ああ。それは、誰でも訊こうと思うだろ」
「はぁ・・・・・・」
「じゃあ、その話から始めようか」
そう言って隼人は、夜空を見上げて思考を始めた。
一瞬で一蹴!