03-異常を知る-
さて、テンポが速い気もしますが、まぁいいでしょう。
「同級生・・・・・・!?」
こんな奴居たか・・・・・・?
「君はアレだろ?嘉島・・・・・・ソウメイ」
「はぁ?」
何言ってんだ?コイツ。
「俺は嘉島奏明だ」
「・・・・・・ああ、アレは「かなあき」って読むのか。いいや、ソウメイ君で」
・・・・・・。
今日は変な奴によく会う。
「で、何か用か」
「君は自分が何か分かるか?」
「・・・・・・」
突然何を言い出すんだ、コイツは。
「俺は嘉島だ」
「そっちじゃねーよ。アホか」
そう言って隼人は笑った。
「君は自分の異常性に気付いているだろう?」
「・・・・・・」
「いや、異能の力と言うべきか?それとも超能力?まぁそんなのはどうでもいいのさ。結局のところ、何かといえばそれは『異常』なんだよ」
「何が言いたい」
「君はおかしい。だから協力して欲しい」
何なんだ・・・・・・。
一体、何が起こっているんだ・・・・・・俺の身の回りで。
「リメンバー・リメイン」
「・・・・・・?」
「君の能力の原型だよ。よく分からないけど、君にはよく分からない何かが追加されているみたいだね」
何か・・・・・・あぁ「タケル」のことか。
「自らの身体で人の心を読む事の出来る能力・・・・・・。正確にはそこに存在する空気の『記憶』から人の心を読むらしいけれど、そんな事はどうでもいい」
どうでもいいなら言うな。
「僕が必要なのはその能力の深部に有るであろう、能力・・・・・・『ロック』だ」
「『ロック』・・・・・・?」
「人が無意識に強制的に思考を中断する事で消えてしまったり、絶対にばれたくない事に関して全力で隠したり、忘れようとしている記憶や思考・・・・・・それを見つける事の出来る能力だよ」
「ちょ・・・・・・ちょっと待てよ」
俺はコイツの話を止める。
「お前・・・・・・何なんだよ・・・・・・。確かに俺は普通じゃないけど・・・・・・それは人の心を読んで、情報を得るだけの話で・・・・・・俺はお前が言うような存在じゃないんだよ!」
「そうかい?君は凄い存在だと思うぜ?滅多に居ないタイプの人間だ」
「それに・・・・・・お前の言っていることをそのまま信用する事も出来ない!いきなり超能力だのなんだの言われても・・・・・・俺はそんなヒーローみたいな人間じゃなくて――」
「ヒーロー?笑うねぇ」
そう言って王城は鼻で笑う。
「何か勘違いしてないか?僕らはただの人間だったのに、演じようとしているんだぜ?この能力を」
「え、演じる?」
「僕らがヒーローなわけないじゃん。僕らは助けられたんだぜ?君で言えば、『リメンバー・リメイン』という能力に、ね」
「何が・・・・・・言いたいんだよ」
俺のセリフに王城は笑う。
「僕らみたいなのが、人を助けられるわけねーだろ?」
「・・・・・・!!」
「僕らは卑怯にも、願ったんだよ。こういう力に。皆はそんなものにも頼らずに、努力しているというのにも拘わらず、だ。そんな僕らが人を助ける権利があると、君は本当に思うのかい?君だって心当たりの1つや2つあるだろ?自分がこうなってしまったことの理由くらいは」
「・・・・・・」
「僕らは他人を助けられない。助けているなんて思っちゃならない。僕らは『当然のことをしている』と思わなくちゃならないのさ」
とそこまで言って、王城は「ともかく」と続けた。
「確かに君が僕を信用できない事は分かったよ。そりゃあそうだよね。僕の説明もしてないのに信用しろってのも無理な話だ」
そしてようやく丸椅子から立ち上がって、言った。
「僕は『シンキング・キング』。そしてこういう能力を『アクター』っていうんだよ」