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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第一章 始まり始まり、この世界
28/81

28-2次会-

 題名には特に意味はありません。

「上がりなよ」

 隼人はそう言って、玄関の扉を開ける。

 この小さな家の立ち並ぶ住宅街に、1つ大きな家があり、それが隼人の家だった。白く、他の家より、頭1つ出た3階立ての家で、その3階が天窓であることが分かる。

「ああ、アレはデフォルトでついていたんだけど、僕は使わないから数年前の状態で放置されてるよ」

「家族で利用しないのか?」

「ん?・・・・・・言わなかったっけ?」

 隼人はそう言って、こう続けた。

「この家には、僕だけしか住んでいない」

「え・・・・・・?」

 じゃあつまりこいつは一人暮らしってことか?

「実家にいたら、嫌でも王城を感じなければならないからね」

「ああ、そういうこと・・・・・・」

「まぁ、この家ももとは王城グループの所有物で、それを僕が買い取ったにすぎないんだけどね」

 そう言って部屋の廊下を歩く。いくつか部屋の扉がある。風呂やトイレも完備されているようだ(家だから当然ではあるけど)。

 廊下の一番奥にあった扉を開けると、リビングが広がっていた。かなり大きい。部屋を半分に分けた右側にソファは3人掛けが1つで、2人掛けが1つ。その2つを直角とした間に、長方形の机が1つ置かれている。また大きなテレビも1台ある。対し、左側には食卓用のテーブルと椅子が置いてある。その奥にキッチンがあり、食卓まで料理を運びやすく、また食卓に座った家族と母親が話しやすい環境となっている。

 で、当然違和感。

 明らかに家族向けの家だ。何故こんな家に隼人は住んでいるのだろうか。

「さてと、これで僕のことはほとんど明らかにしたつもりだぜ?」

「・・・・・・」

「次は君の番だ」

 俺の番ね・・・・・・。

 つまり俺の願い・・ということか。







 屋上での事件が形の上では解決して、その後の会話だ。

「奴がああなってしまったのは俺の責任もある。双葉が抱えていた歪みを取り除くことが出来なかったのだから」

 それを知っていたのは俺だけだったというのにな。

 まるで自嘲するかのように龍兵衛さんはそう言った。

「しかし、双葉さんを助ける方法は彼が、自らに責任を持つことだけでした。それができないとなれば・・・・・・」

「・・・・・・そうだな」

 龍兵衛さんは納得したように上を見る。

「取り敢えずここにも警察が来るだろう。お前らはさっさと離れた方がいい」

「分かりました。では、またお会いしましょう」

 隼人はそう言って、階段の方へと向かう。

「最後の1つだけいいか?」

「何でしょうか?」

 龍兵衛さんと隼人は相変わらず背中で会話する。

「お前は一体何なんだ」

 龍兵衛さんの問いに、迷わず、間髪いれずに答えた。




「探偵ですよ」


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