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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第一章 始まり始まり、この世界
26/81

26-最後に落ちたもの-

 会話しているのは、嘉島でも隼人でもないよ。

 ・・・・・・。

 おさまったな。

 殺しは出来ていないだろう。先ほど壁が出来ていたのを見た。

 嘉島と王城・・・・・・奴らは一体何者だ。


「・・・・・・やっぱり生きてるか」

 2つの影があった。槍は1つも帰ってくること無く、バズーカの弾は当然コンクリートを破壊したりしているため、帰ってきているはずも無い。あるのは炎だけ。

 最後に落とすもの・・・・・・それは炎か。

 アイツはこれを読んでいたのだろうか?

 ・・・・・・いや、そんなはずもない。

「何をした?」

 王城に訊いてみる。

「少し、回収させてもらった」

 手にはスタンガン。

「コイツらをもう一度使われたらこっちも困るんで」

「だろうな」

 王城はそれらを嘉島に投げる。

「処理宜しく」

「了解」

 嘉島はそう言って、左手を突き出す。

 そしてそれらの全てを黒い塊へと作り変えた。

「・・・・・・貴方が最後に落とすものは、これで『炎』だけになりました」

「なるほど・・・・・・。だが、それで俺は十分だ」

 炎の数は5つ。これだけあれば、何とかなるだろう。

「だったら大きさで勝てばいい」

 炎を1つにまとめる。

 これで直系10メートルくらいの巨大な火の玉の出来上がりだ。

 騒ぎになるかもしれないが、コイツらさえ何とかすればいいだろう。

「1人ずつ、確実に殺す」

 まずは、王城!

 炎を投げた。

「・・・・・・」

 王城は黙って突っ込んでくる。

「本当はこういうのはすべきじゃないんだよ。だって、良い子がまねするだろ?」

 突然そういったかと思うと、屋上の手すりの方向へ。

 そして飛び上がって、屋上の手すりに立った。

「ここに立てば何の問題も無い!」

 王城はそう言ってこちらに向かってくる。

 全く・・・・・・。


「阿呆が」


 炎の熱が手すりを溶かす。

「げ」

 王城はそう呟いて、飛ぶようにして離れる。それでも尚、こちらに突っ込んでくる。

「大きければ大きいほど、速さも増す。本来は落下のほうが得意なんだがな」

 炎を王城の方向へとついてこさせる。

「貴方にぶつければ炎は消える!」

「だからそれは無理だ」

 王城は俺の前をダッシュで通り過ぎる。

 炎はこちらに近づいてくる。

「王城を追跡だ」

 指令を出す。炎はその命を受けて王城の方へ向かう。

「・・・・・・」

 王城の方を見る。

「・・・・・・!」

 頬が歪んでいる。

 笑った・・・・・・!?

 突然だった。


 頭に電流が走った。



 物理的な意味で。


 見ると、スタンガンの塊を嘉島が投げてきたようだ。少し電気を帯びていたようで、頭の激痛が当社比2倍くらい違う。


「くっそ・・・・・・!!」

 そうか。王城は炎がでかくなる事も分かっていた。そして、その影に嘉島を隠す事で、不意打ちをしたんだ。




「くらえ!」

 嘉島はそう言って走りこんできて、俺の頭を右手で狙う。

「・・・・・・大人を舐めるな」

 ここまでくればただの力技だろうが!!!

 俺は嘉島を地面にたたきつけた。


「バカが!大人に力で勝てるわけ無いだろうが!」

「取った」

 ぱん。

 え?

 ・・・・・・頭から力が抜ける。

 死ぬ時に人の思考は異常に働くのかもしれない。

 見えたのは、入り口で銃を構えている先輩の姿。目から涙がこぼれている。


 聞こえた気がした。

「双葉さん・・・・・・貴方が最後に落とすもの・・・・・・それは」


 なるほどな。





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