24-最後に落とすもの-
解除されて、屋上の風の強さをようやく始めて感じた。
「……あ」
見ると、隼人の言った通り、地面が壁になっている。形も俺の思ったとおりの形だ。つまり、あれは間違いなく俺が作った壁ということになる。
と。
ドサリ、という音を立てて隼人がへたり込んだ。
「ど、どうした?」
「いや・・・・・・。集中しすぎていた疲労と・・・・・・痛みが最大の原因だね」
「痛み・・・・・・?」
何の事だろう、と視線を向ける。
「・・・・・・お前・・・・・・顎・・・・・・!」
顎が赤くはれている。
「折れては無いよ・・・・・・。だけど、痛いね」
「それって、さっきの双葉さんの・・・・・・?」
「ああ、キングダムで受けたダメージは解除したら帰ってくる。仕方ないのさ・・・・・・。それより」
隼人は言って視線を双葉さんへ向ける。
「向こうもやる気だよ」
「あぁ・・・・・・」
俺も視線を向ける。
「そうらしいな」
ライターが数個、スタンガンが数個、ペットボトルが数個、針や何かの金属の先端のようなものが数個浮いていた。
「構えよう」
隼人は身を低くして構えた。
「・・・・・・行くぞ」
双葉さんが呟く。
ライターが炎に、スタンガンが雷に、ペットボトルがバズーカの弾に、金属類は槍へと変化した。
・・・・・・なるほど。そうですかそうですか。
浮いているものを指差してから、俺は隼人を睨む。
「アレはどういうことだ」
「ああ。僕も驚いている。てっきり落とす物・・・・・・ライターを炎にするような『威力』をあげるものだと思っていたよ。まさか物質を変化させてくるとはね」
「『驚いている』じゃねーよ!」
あっはっはっはっは。と笑いそうなので、取り敢えず隼人に掴みかかってみた。
「アレにどうやって対抗すればいいんですか!?あれだけの数をどう相手にすればいいんですか!?」
「思わず敬語だね」
「いいから答えろよ!」
「分からない。けどどうにかなる。1つだけ考えれば」
そう言って隼人は人差し指を立てた。目に刺さるかと思った。
「・・・・・・何を考えればいいって言うんだよ」
「最後に落とすもの・・・・・・それを考えればいい」
そう言って隼人は俺の手を服から離させる。
「仲間割れは終わったか?」
双葉さんはそう言って余裕の笑みを浮かべる。キャラ変わってらっしゃる。
「何が言いたいのか分からないが、俺が最後に落とすものがお前らに分かるのか?」
聞こえてらっしゃるようで。
「ま、気にしない方針で」
と、隼人は茶化しながらも真面目な顔で俺を見る。
何かを悟れってことか・・・・・・。俺の得意分野でありながら苦手な分野でもある。特に考えなければならないような内容は。
「・・・・・・ま」
双葉さんはそう言って、
「どうでもいい」
雷を飛ばしてきた。俺達はその行動の前に回避行動を取っていた。
さて、勝負もどうやらクライマックスのようで。
はっは。
前編ときたら後編と思ったか。
まさかの中編だ。
誰が驚いているって自分で驚いているからね?