02-それがこれ-
それはそれだから。
それがこれなんだ。
次の日の7月21日の朝、俺は宿題を始めた。
夏休みの宿題は、さっさと終わらせることを目標にしている。出来るだけ7月中に。別に友達と遊ぶような約束は無いけれど、どうせやることもないのだから、それが有意義な時間の潰し方ではないかと思うのである。
そんなとき、
「兄ちゃん」
小学6年の妹こと、奏がそう言って部屋に入ってきた。僕はシスコンではないが、そういう観点は置いておいて、かわいい妹である。
「何?」
しかし、悪いタイミングで、しかもノックもなしに入ってきたので自然不機嫌な口調になる。
「昨日、お姉ちゃんから聞いてきた?」
「ああ・・・・・・うん、聞いてきたよ。あれは・・・・・・」
と、それからレシピについて説明しておいた。
「響也は?」
「さぁ?朝早くから出て行って帰ってきてないよ」
奏はそれだけ言うと、部屋から出て行った。
俺は少し悩んでから、まぁいいかという結論に達したため、そのまま宿題を進めることにした。
その日の夜にいつもどおりに俺は家を出る。
そして、昨日とは違い自転車もないので、電車を使って病院へ向かうことにした。
電車は苦手だ。
人が多いので情報量が多すぎて、パンクしてしまいそうだ。
「あの」
「え」
隣から声をかけられた。
「大丈夫かしら」
髪の毛が腰の辺りまであるロングヘアーを結ぶでもなくそのまま伸ばしてある少女。その長さを髪の毛をきれいに手入れしているようで、美しさを感じる。
「・・・・・・何が?」
「顔色が悪いわ。何か有ったのかしら?」
何だコイツは。
何で一般人である俺にここまで話しかけてくるんだ。
「いや、大丈夫だ。ありがとう」
「そう。ならいいわ」
そういうと少女は、そのまま前を見て立っていた。
コイツは一体何なんだ・・・・・・?
と思ったときには、病院の最寄の駅に着いたので、その少女に一礼してからそのまま電車を出た。
「・・・・・・それにしても」
本当に一体なんだったんだろうか。
人の顔色でも見て生きてきたのだろうか。後、少しかわいかった。
「さて」
俺は1度そう仕切りなおしてから、駅を出て病院に向かった。
昨日と同じように病室に入って、荷物を置いて。
それから言う。
「お前何だよ」
丸椅子に座っているその金髪男に向かって俺は言う。
「昨日すれ違った少年だよ」
「だから何でここに居るのかって聞いてんだ」
「ちょっと興味深い反応を感じたからね」
そう言って立ち上がる。
「王城隼人。同級生だよ」
何だコイツは。