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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第一章 始まり始まり、この世界
11/81

11-俺=鍵-


 残留思念。


 俺はそれを空気や土地、物から読み取る。

 その空気や物が記憶している情報や思い出、思い入れや念じた事。それらを汲んでやるこの右手は、何より情報収集に適している。

 俺の右手で触れたものから、俺が知りたい情報を検索する。或いはそれが有している全ての情報を取り込むことも出来る。

 それを利用する事で、俺は他人から記憶や思いを読み取っている。だから正確には他人の心を読んでいるのではなく、他人の所有している心臓、肝臓、腎臓、胃、血管、血液、リンパ腺、目、耳、口、毛、肌などが感じてきた物を俺が理解するという事だ。

 この能力は『占い師』に近い。そしてそれだけではない。

 その気になれば、そこで死んだ人と会話する事まで出来るのだ。しかしそれをすることはない。

 第1に異常なまでの集中力を必要とする。それだけでも精神力を使うというのにも拘わらず、第2に、幽霊とご対面になる。こういうような場所ならまだしも、片田舎の道路など、場所によっては思いもかけない人数の地縛霊や浮遊霊、さらには人に憑いた霊から、憑くも神まで見えてしまったりするのだ。

 余談ではあるが、1度それで少年・・と話したことがあった。その時少年は言ったのだ。

『ここでお母さんが来るのを待ってるの!』

 と。

 地縛霊は情報的記憶を蓄積しないのだ。だから、彼はここで、お母さんを待っている間に死んで、それ以降もここに居続けていることになる。そういうことは更に俺を苦しめる。

 以上3点により、俺は精神力を異常に使うこの行為を忌み嫌っているのだ。

 閑話休題。

 

 そんなこんなで、俺は地面や壁から記憶を収集していく。

 人が歩く。何も感じていないようだ。そして。


 突然、落雷が降ってきた・・・・・。そこを狙っていたかのように、1つが枝分かれしたのではなく、一気に幾つもの落雷が落ちてきたようだ。



「・・・・・・不自然だ」

「何か分かったのかい?」

 隼人が俺の発言を聞いて言う。

「おい、本当に落雷なのか?」

「・・・・・・?」

「落雷にしてはおかしいぞ。いくら能力といえど、雷なら、1人の人間に向かって直撃しないだろ?」

「・・・・・・」

「それに、雷が当った人々の近くから発生していない。だって、近くで輝きがなかったみたいだからな・・・・・・」

「・・・・・・なるほど、そういうこと」

 隼人は1人でそう納得すると、

「おかしいと思ったんだよね・・・・・・。そもそもサンダー・ボルトは神様になりたいとか願っていた、『太古の人々』によく見られた性質だからね」

 といって、近くのビルの階段を上り始める。

「じゃあ、何なんだよ」

「つまり、雷の類ではなかったのかもしれないってことさ。いや、電気系統ではあるんだろうね。『光』だから」

「だから、何なんだって」

「それを君に確かめてもらうのさ」

「はぁ・・・・・・?」

 本当に、コイツは何言ってんだ。しかも元々の考えからどんどん離れていっている気がする。


 そして、到着したのは屋上だった。

「・・・・・・何なんだ?」

「ここから雷を落としたんだろう。いや、電気に関係する何かか?」

「・・・・・・なるほどな」

「君の出番だ。任せる」

「任せろ」


 どうも今回の事件は俺の力が必要のようだ。

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