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紡がれ行くあの過去  作者: 榊屋
第一章 始まり始まり、この世界
10/81

10-残留思念-

「起きろ」

 俺はそう言って隼人を蹴った。

「最悪のモーニングコール」

 隼人は言いながら、痙攣する。うむ、思ったよりも強すぎたかな?

 隼人が落ち着くまで待つ。

「で・・・・・・何?」

「1時間くらい経ったから、飯持ってきた」

「ああ、そう」

 隼人はそう言ってから俺の持っている食糧を取った。

「で、検証どうだった?」

「噂は凄い速度で広がっているな。情報量自体は足りなくて困っているけれど」

「そうかい。そりゃよかった」

 隼人はそう言ってから食糧をほおばる。そしてペットボトルの水でそれらを流し込む。王城の御曹司なのに行儀悪いな・・・・・・って、ことは置いておいて。

「『よかった』?」

「ん?」

 飲み込まずにそう言って反応する。

「いや、よかったのか?」

「んぐ・・・・・・。ああ。それはさっきも言ったろう?」

 隼人はそう言ってから笑う。そして紙に何かを書き始めた。

「アレは、事故として処理してもらわなければならないんだよ。だから、事件だってばれそうな情報は少ないほうがいい。恐らく、集まった情報は『急に雷が落ちてきた』って程度だろう?」

「そう・・・・・・なのか?でも、じゃあ噂が広がっている事も悪いことじゃないのか?」

「逆なのさ」

 隼人はそう言って、紙を折りたたんで、俺に渡した。


「そういう噂が広がれば、こういう愉快犯型の犯人はもう一度事件を起こしてくる。注目されたい人間の典型的な犯罪者だよ」

 隼人はそう言ってから、部屋を出た。


 凄いな・・・・・・。犯人の事まで考えて行動しているのか・・・・・・。

 と思いながら、貰った紙を開ける。

「・・・・・・」

 自由研究のまとめだった。内容を変えて、実験結果を記載している。それを、10枚くらいに水増しするための方法とかも書かれてある。

 あんな話しながら、これ書いていたのか・・・・・・。もしかしてアイツ、脳が2つくらいあるんじゃないのか?

 

 しばらくして隼人が帰ってきた。

「この部屋はしばらく借りて置けるように頼んでおいた。少し料金が掛かるけど、そのくらいの余裕はあるさ」

 そう言って隼人は荷物を持って、外に出た。そして首をひょこっと、もう一度見せて、

「ソウメイ君もいくよ」

 と俺を呼ぶ。

「誰がソウメイだ。俺は、奏明だっつってんだろ」

「そーですね」

 隼人は軽い態度をとって受け流し、そのまま首を引っ込めた。

 俺はその隼人を追うようにして出て行く。




 中央街。

 事件の発端となった場所に俺は立った。

「さて、始めようと思うんだけど・・・・・・」

 隼人はそう言ってから、周りを見渡す。

「特に情報もなさそうだね」

「そうか?」

「ん?」

「情報ならここに溜まってんじゃねーか」

 俺はそう言ってから右手を出した。

「情報を回収する」

「ああ、そうか。リメンバー・リメイン・・・・・・」

 俺は右手を地面につけた。


「別名『残留思念』」

 そこに残っている記憶や思い・・・・・・それが残留思念なのだ。

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