紡がれ行くあの過去

　世界観はこの世界。皆が居るこの世界だ。その世界においては、異常性―それすなわち、『能力』と呼ばれる物―が存在する。それは個人個人にある個性や、オリンピック選手たちやパズルを解く力、勉学に秀でていることすら関わっているのかもしれない。君の隣に居るような、そういう奴らも、ある意味で『能力者』なのかも知れない。しかし、それはこの物語にはそこまで関わっていない。
　俺達の学校では終業式があった。それから夏休みが始まった。夏休み。それは俺と「アイツ」が出会った日で俺の運命が変わった日といっても過言ではない。そのくらい出会いは劇的だったのだ。
　俺は姉の病院に居た。その時であった「アイツ」はまだ俺の存在を理解しては居なかったが次の日姉の病室を突然来訪してきた。そして言い放った。『リメンバー・リメイン』と。そして挙句には「僕には君の力が必要だ」と言い放つ。そして俺の夏休みが悪夢へと変貌を遂げる。
　アイツの所為で様々な事件に巻き込まれ、様々な人間と出会い、様々な感情を経験する事になるとは俺も思っては居なかった。そしてそこで出会った人間が俺にとってかけがえの無い存在になる事すらも全く予期していなかったのだ。　7月20日、「海の日」に俺はそのわけも分からない暗い渦に飛び込むことになったのである。