第八話
第八話です。
ではどうぞ。
前日……というより、最近私が学校に通い始めてから、ヘリオス様が不機嫌のご様子。
今回の任務において、ターゲットと険悪な関係は由々しき事態。
機嫌を良くしてもらうにはどうしたら良いのだろう。
確か、人は好物を食べると上機嫌になるらしい。
長も好きな料理を作った日には、機嫌が良かったから。
しかし――――。
ヘリオス様の好物ってなんだろう?
「ヘリオス様は何がお好きですか?」
「え、何、どうしたの?」
学校へ行く途中、そう尋ねてみた。
これは、ヘリオス様のことも知れる良い機会だ。
見逃すわけにはいかない。
「んー基本はなんでも食べるけど、昔母が作ってくれたシチューがすごく美味しかったんだ。それがどうかしたの?」
「今週、材料を買いに行きましょう。休日の夕食はそれを作ります」
「ああ、ありがと」
とは言ったが、それでは家でのヘリオス様の機嫌はとれるが、学校でのヘリオス様の機嫌はとれない。
第一、家よりも学校のほうが不機嫌なのだから。
んーどうしたら……。
「なにかお困り?」
黒板を消しているヘリオス様を見ながら考えていると、頭上から鈴を転がしたようなきれいな声が聞こえた。
「リリアナさん」
同じクラスメートのリリアナ・ヴェルディ。光沢が出るほどの長いキャメル色の髪、背が高くどこか大人びたオーラを纏った彼女は、転校したての私にも優しく接してくれる。
「わかりますか?」
「ええ、だってここにすごく皺が寄っているんですもの」
そう言い、私の眉間を人差し指でトントンとつつく。
「で、それで何に困っているのですか?」
「実は……」
この人になら話しても良いのかもしれないと思った。
「従兄妹でもわからないことが多いのね」
「まあ、そうです」
本当のことをいうと、私とヘリオス様は従兄妹ではないが。
休憩時間、私達は外のベンチに座っている。
ヘリオス様以外にこんなふうに話すのは彼女が初めてだ。
「そうなった原因も、わからないのでしょう?」
「はい……あ、でも私がここの学校に来て、みんなに囲まれているときヘリオス様が助けてくれたんですけど、そのあとみんなに見られているのが嫌だみたいなことを言っていたような……」
私がそこまで言うと、リリアナさんは少し驚いた表情を浮かべた。
そして、何かを考える仕草をしたあと、私に指をさす。
「もしかして、あなたが他の人と喋っているとき、ヘリオス君の視線を感じたりはしていないかしら?」
そう言われてみれば、最近妙に刺さる視線があるのは、もしかすると。
「そう、かもしれません……って近づきすぎです。もう少し離れては?」
リリアナさんがずいずいと迫ってくるおかげで、私はあと一歩後退したら地面に落ちる寸前だ。
「あら、ごめんなさいね」
後ろに下がるかと思いきや、ベンチから立ち上がり私の前に立つ。
「ヘリオス君のことは、そのままでいいわ。恐らく杞憂に終わるはずよ」
と直ぐ側に咲いてあった花を摘み、私の手に握らせる。
「どう? 身近に咲いているお花だけど、とても綺麗でしょう?」
その花はまるで小さな太陽を白い花びらが閉じ込めたような……誰かの姿を彷彿とさせる。
「でも……」
「それでも心配というのであれば――――」
第八話どうでしたか。
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